がんと無縁でいるために

12年間凍結した卵子で出産 - がん克服の女性、高2当時に採取

 がんの治療で生殖機能を失う恐れがあった当時高校2年の女性(30)から卵子を採取して凍結保存、12年後に解凍して夫の精子と体外受精した受精卵を子宮に戻すことで、今年8月に女性が出産していたことが5日、分かった。

 精子や受精卵に続き、近年、卵子(未受精卵)も凍結保存できるようになったが、国内で10年以上凍結保存した卵子で出産したケースは珍しい。この女性の卵子凍結を担当したプロサポートメディカルリサーチセンター(東京都新宿区)の桑山正成博士(生殖工学)によると、女性は2001年に血液のがん「悪性リンパ腫」を発症した。この病気の治療には抗がん剤の投与と骨髄移植が必要だが、抗がん剤の投与で卵子がつくられなくなる可能性がある。

 女性は本格的に治療を始める前に、不妊治療施設で卵子2個を採取、液体窒素で凍らせ、零下196度で保管していた。女性は1ヵ月後に骨髄移植でがんを克服した。  女性は2013年に結婚。解凍した卵子と夫の精子を体外受精させ、受精卵1個を女性に戻したところ妊娠。名古屋市内の病院で、今年8月に男児を出産した。もう一つの卵子も受精が成功、第2児の出産に備えて再び凍結した。卵子凍結をめぐっては、日本生殖医学会が2013年、健康な未婚女性の卵子凍結を容認し、ガイドラインで実施できる施設を決めた。

2014年12月15日 日本経済新聞より

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N.M.I.
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