皆様の声・体験談

赤川学さん(当時64歳・仮名)の場合

 「あれは1994年の暮れのことでした。頭痛が続いたので病院で検査を受けることにしたんです。

 子どもの頃から偏頭痛持ちで、ずっと悩まされてきましたが、35歳を過ぎた頃、どういうわけかそれから解放されて、偏頭痛のことは64歳になるまですっかり忘れていました。

 病院で頭部にCTをかけて調べると、呆気なく『なんともないよ』という答えでした。ついでに腹部にエコーをかけて調べることにしました。すると右の腎臓の下部にポリープのようなものがたまたま発見されたのです。半年したら再検査をするようにと言われて病院を後にしました。

 その半年間は、腎臓のことを全く気にすることもなく過ごしました。そして再検査の日がやってきました。右の腎臓は、ポリープのようなものが消えて正常に戻っていましたが、左の腎臓を調べていくと、今度ははっきりと腫瘍が見つかったのです。半年前は何もなかったところにです。最終的には腎臓がんと診断されました。

 原因を考えた時、タバコも一度だって吸ったことがないし、お酒もほとんど飲まない。仕事もうまくいっていたし、苦労や悩みをかかえることもなく、思い当たることがありませんでした。ただ9人の兄弟姉妹のうち、4人が発がんしてますので、家系が関係しているのかもしれないと思いました。

 手術前に、気心の知れた昔からの知人と、仕事で付き合いのあった人に病気のことを話すと、偶然にも同じ話をしてくれました。日本冬虫夏草の話でした。1995年5月半ば、手術は8時間かかりました。途中副腎を傷つけたということで、副腎もとられてしまいました。治療は手術のみで、抗がん剤、放射線等のほかの治療は一切ありませんでした。

 日本冬虫夏草を飲み始めたのは退院した翌日からです。あれから日本冬虫夏草は今日まで毎日飲んでいます。1日1本ずつ。夜中に目が覚めた時も飲みました。その時は内臓にジワッとしみ込む感じがします。手術から今年で7年目。再発もなく、めったに風邪を引くこともなく元気で過ごしています」

 赤川さんは、自分でおっしゃるようにくよくよしないタイプだといえます。がんになったからといって恐怖や不安を持たず、むしろがんを味方に考えるようにしました。素晴らしいパートナーである奥様の協力があって、日常的にも塩辛いもの、油っこいもの、肉類は食べず、魚とたっぷりの野菜中心の食事を肩肘張らずにごく自然にやっているとのことです。

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 「ここしばらくは、絵を描いたり、大好きなガーデニングにいそしむ毎日です。絵を描いている時は、頭の中は空っぽで熱中していて、自分が何をしているかさえ意識しません。そういう時は免疫力はずいぶん上がっているのでしょうね」

 病気の前と後では世の中が違って見えましたかという質問に、赤川さんは「何も変わっていませんね」とあっさり答えます。自分というものを持っていて、あくまでマイペースで飾らず、無理をせず、自分の熱中できる楽しいことをやる。そういう生き方にがん克服のヒントがあるように思います。

 それから、兄弟姉妹の中でがんでおなくなりになっている方は一人もいないそうです。

朝日ウィル(北燈社)2001年6月13日号より

N.M.I.
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