皆様の声・体験談

中嶋栄子さんの場合

 中嶋裕幸・栄子ご夫妻(仮名・山形県米沢市在住)が訪ねてこられたのは1994年の4月のことでした。栄子さんは乳がんの手術をなさって退院して4日目ということで、ご主人が奥様をいたわりながら歩かれていました。その雨の中の二人の情景を今でも忘れることができません。あれから栄子さんは再発もなくお元気で、今年で9年目を迎えられました。これまでのことをご主人にお聞きすることができました。  

 「1991年に、しこりに気付いて、妻は一度検査を受けているんです。その時は『何ともないから気にしなくていいよ』と言われて。根っからの病院嫌いでもありましたから、その後3年間は検査をすることもなく放っておいたんです。それが悪性に変化していったんですねぇ。妻は、とにかく働き者で、常に体を動かしてないとすまない人間です。その3年間は働きすぎるくらい働いたし、二人の息子の受験も続いて、心配が絶えなかったと思います。少し休めばいいのにと思うこともあって、働き者の奥さんをもらって、私は幸か不幸か分かりません(笑)

 初めは、患部だけ摘出する手術を行ったんです。これで終わりと一息ついたところ『ほかにも散らばっているから、左の乳房の全てとリンパ腺を取らなくてはいけない』と言われて。この時は二人ともがっかりしましたね。日本冬虫夏草を飲み始めたのは、1度目の手術の後からです。これから先、再発のないように、妻にしてあげられることはないかと思って情報収集をしていたときに、週刊誌の日本冬虫夏草の記事が目に止まったのです。2度目の手術の後、抗がん剤を投与されましたが、相部屋で同じ治療をしている人たちと妻が明らかに違うことに驚きました。皆さんはツルリと髪が抜けているのに妻だけがほとんど抜けていないのです。吐き気もないし、弱るということが全くありませんでした。退院する際に自宅で服用するようにと抗がん剤を渡されましたが、今まで正常にあった生理出血が止まってしまい、こんな悪さをする強い薬ではと、自らの判断で服用を止めたようです。それ以外の治療は一切ありません。

 それから5か月して、今度は私の方が手術することになりまして。下痢が続いて風邪がなかなか治らなかったものですから、検査をしてもらうと、大動脈炎症候群という何万人かにひとりの珍しい病気が見つかったのです。心臓の弁と大動脈を人工のものと取り換える大手術をしました。術後、一時は意識不明の危篤に陥ったこともありました。妻は50日の間付き添ってくれて、私のベッドの脇で寝起きしました。この時は妻のがんが再発するのではと自分のこと以上に心配しました。代わりに息子が泊まってくれることもありました。下の息子はその時高3の受験生。成績がガタッと落ちて担任の先生にはずいぶん心配をかけたようです。家庭の事情を話すようなことをしない子ですからね。妻は、日本冬虫夏草だけは病院の中でも毎日欠かさず飲んでました。私も、手術から1年は飲みました。振り返ればこの1年は、我が家にとって試練の連続でした。

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 大の温泉好きの妻は、左の乳房を失ってからというもの、家族や社員旅行で出かけても、堂々と温泉に入ることができなくなり、寂しい思いをしていたようです。私はそれを知っていましたので何とかしてやりたいという思いで、人工乳房をオーダーメイドしてくれる中村ブレイスという会社をネット上で探しあてました。その人工乳房は、温泉に入っても実際の肌と同じように赤く発色する精巧なものです。この夏、オーダーのため二人で上京する予定です。これから先、温泉も海水浴もどんどん楽しんでもらいたいと思います。

 あの日、列車で二人、矢萩先生のところへ向かいました。北上するにつれて風景はどんどん寂しくなっていくし、暗雲がたれこめてついに雨は降り出すし、二人でこんなとこまで来てしまった(笑)とたいへん不安になったのを憶えています。あの時受験生だった息子は無事大学に入り、今は社会人となっています。妻はパートで仕事に復帰しています。働きすぎは今でも心配の種ですが、ここ最近は風邪をひくこともありませんね。日本冬虫夏草は9年目となりましたが、これからも続けていくつ もりでいます」

朝日ウィル(北燈社)2002年8月20日号より

(おまけのおはなし)
「我々夫婦は野菜と魚中心の食生活で、肉はほとんど食べません。バターやマーガリン等は使わないし、油はノンコレステロールのものを使ってます。野菜ジュースは毎日飲みます。

 病と向き合う時に大切なのは、自分の体なんだから、誰よりも体のことを知るために勉強することだと思うのです。私も努力してずいぶん詳しくなりました。専門の先生から目を丸くされることもあります。患者でなければわからないこともあるし、医療の進歩に患者だからこそ貢献できることがあると思うのです。知識をもって主治医とよくコミュニケーションが取れるようになれば、医療もより良く変わっていくのではないでしょうか 。

 手紙をいただきました。
『夫婦ともども元気にしております。再発もなく無事に、まもなく10年になります』

2003年12月10日

N.M.I.
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