がんと無縁でいるために

抗がん剤、心臓病の遠因?

 抗がん剤の進歩などで、治療後に社会に復帰する「がんサバイバー(がん経験者)」が増えたことで、抗がん剤の影響とみられる心臓や血管など循環器系の疾病に苦しむ患者が目立ち始めた。治療中の抗がん剤の影響とみられる心臓病で亡くなる人も出ている。問題視した専門学会などが対策に動き始めた。

  (中略)

 抗がん剤による治療効果が比較的高い乳がんの場合、治療開始後1年以内に死亡する患者の3割が、がん以外の抗がん剤の影響とみられる心臓や血管の病気だ。診断から10年後には心臓や血管の病気で亡くなる人の数ががんによる死亡者数を上回る。循環器治療が専門の東京大学の小室一成教授は「抗がん剤が心臓や血管を傷つけ、その影響が重篤化している可能性がある」と話す。

  (中略)

 全国に先駆けて、抗がん剤によると思われる心臓や血管の病気を診る専門外来を設置した大阪国際がんセンターは、他の医療機関からも患者を受け入れている。藤田雅史主任部長は「全てのがんセンターに常勤の循環器医がいるわけではないため、工夫が必要」と指摘する。

 増えるがんサバイバーを支えるためにも、がん治療とほかの疾患治療との連携は待ったなしだ。

2019年12月5日 日本経済新聞より

心臓に影響を受け、良くなった方のお話はこちら(大友純一さんの場合)

N.M.I.
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