がんと無縁でいるために
欧米型の食事、乳がんご用心
肉類やパン、コーヒーなど食生活が欧米型に偏り過ぎている女性は、そうでない女性と比べて乳がんのリスクが1.32倍になることが国立がん研究センターや東京大などの調査で分かった。乳がんは欧米の女性に多く、日本での患者の増加は食の欧米化と関係するのではないかとみられていた。研究グループは「健康的な食生活を心がけてほしい」としている。
肉・パン中心リスク1.3倍 国立がんセンター注意喚起
研究グループは、1995~98年の間に食生活のアンケート調査に回答した45~74歳だった女性4万9552人を2012年末まで追跡。期間中に718人が乳がんと診断された。
食生活について、
①野菜やいも類、大豆製品、緑茶などの「健康型」
②肉類・加工肉、パン、ソフトドリンク、乳製品などの「欧米型」
③ご飯、みそ汁、漬物、塩魚・干物などの「伝統型」
に3分類したうえで、134品目の食品や飲料の摂取量から点数化した。
欧米型の点数が高い順に5グループに分けたところ、最下位のグループは、点数が最も低いグループと比べて乳がんのリスクが1.32倍たっだ。2番目以降のグループでも乳がんのリスクは上昇したが、統計的に有意な差ではなかった。一方で、健康型や伝統型の食生活でも同様に分析したが、乳がんのリスクの上昇はみられなかった。
ただ、食生活を見直す場合には他の病気との関連も考える必要がある。国立がん研究センターのこれまでの調査で、伝統型の食生活に偏ると、胃がんのリスクが男女とも高くなることが明らかになっている。塩辛や漬物などによる塩分の取り過ぎが原因ではないかとされている。
同センターによると、2015年にがんと診断された患者数の予測では、女性の場合は乳がんが8万9400人で1位、胃がんは4万2200人で4位となっている。予防研究部の井上真奈美特任研究員は「他の病気のことも考えると、健康型の食生活を中心とするのが望ましい。閉経後の女性は肥満が乳がんのリスクを上げることが明らかになっているので、食生活には気をつけてほしい」と話している。
【乳がんのリスクを高めるとされる生活習慣】
食生活 | 欧米型に偏り過ぎると、リスクは1.3倍 |
喫煙 | 非喫煙者と比べると、リスクは1.9倍 |
大量の飲酒 | 飲まない女性と比べると、リスクは1.8倍 |
肥満 | 閉経後はリスクの上昇が確実。閉経前は可能性あり。 |
(注)国立がん研究センターの資料を基に作成