研究・論文

2010年5月20日 東北大学植物園に生息する冬虫夏草属

2010年5月20日 日本植物園協会 (淡路島夢舞台国際会議場)

1.「東北大学植物園における冬虫夏草属ツクツクボウシタケの発生状況

2.「東北大学植物園の冬虫夏草属類フロラ」

のテーマで共同研究者の東北大学植物園園長、鈴木三男教授が発表しました。

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ポスター発表 夢舞台10年5月20日


東北大学植物園における冬虫夏草属ツクツクボウシタケの発生状況
【はじめに】
 本菌Isaria sinclairii(Berk.)Lloyd(図1a)は、子嚢菌類Ascomycota核菌綱Pyreonmycetesバッカクキン目Clavicipitalesのスチルベラ科Stilbellaceaeに属し、セミ科(Cicadae)のツクツクボウシMeimuna opalifera Walker、1850の幼虫に寄生し、完全世代を形成するツクツクボウシセミタケ Cordyceps sinclairii(Berk.)Lloyd.の不完全世代(Isaria)型である。なお、セミの幼虫に感染する不完全世代型の虫寄生菌では、他にイリオモテハナゼミタケ等のIsaria型がある。

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図1a. ツクツクボウシに発生した
ツクツクボウシタケ



宿主であるツクツクボウシは北海道からトカラ列島までの日本列島、国外では朝鮮半島、中国、台湾までの東アジアに広く分布している大変馴染みの深いセミである。成虫は8月上旬~10月上旬に発生し、10日ほどの寿命で、樹皮に産卵する。卵は翌年孵化して土中にもぐり樹根から樹液を吸いながら成長し、3~4年ほどで成虫になる。ツクツクボウシタケの菌にいつの時点で感染するかは不明だが、発生したツクツクボウシタケはいずれも幼虫が地表直下に真上を向いた、いわば直立の姿勢の状態(図1b)で見つかることから子実体が形成されるのは羽化の直前と考えられる。

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図1b. ツクツクボウシタケの土中姿勢



本菌が当植物園で始めて確認されたのは1998年8月で、以降、毎年確認されていたが、近年特に大量に発生しているように見受けられるようになった。そこで、園内で発生がよく見られる場所において2008年と2009年の2年間にわたり、その発生状況を一週間毎に観察、記録した結果を報告する。

【調査地】
 東北大学植物園(通称青葉山植物園)は東経140度50分、北緯38度15分附近にあり(図2)、仙台駅からほぼ真西に2.5kmほどで、標高は約60~146mで、仙台城本丸の後背地にあたり、城の防備と水源確保のために、17世紀の創建当初から御裏林として樹木の伐採が禁制されて来ており、現在も樹高30mを超えるモミを主体とした自然林に近い森が保持され、その敷地の大部分が天然記念物「青葉山」となっている(図3)。ツクツクボウシタケの調査地は本館前の芝地からこの森の中に入って直ぐのモミとスギが優先し、カシ類、シロダモなどの常緑広葉樹の多い林の中の園路沿いにAとBルートを、園内の本沢を渡って対岸に登った園路沿いにCルートを設置した(図4、5)。Aルートは長さ約95mで、標高差は焼く10m、植物園の天然記念物「青葉山」への入り口から石段を登り、伊達家の茶室跡(残月亭跡)の平坦な広場に至る園路で、直径1m近いモミ、スギとアカガシ、シラカシ、シロダモなど常緑広葉樹が優占し、下層にはアオキが繁茂する林で、林内は大変暗い(図6)。BルートはAルートの途中から本沢に下る園路で長さ19m、標高差は5m程で林相はAルートと同じである。Cルートは本沢沿いの部分から御清水へ上る園路で長さ役149m、標高差は約45mで最上部はモミノキ道とカタクリ道との分岐点の少し上である。モミが優先しスギ、カシ類、シロダモ、それにカスミザクラなどの落葉広葉樹が混ざる。

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図2. 東北大学植物園の位置

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図3. 東北大学植物園の空中写真と調査地(赤楕円)

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図4. 調査ルートの位置

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図5. 調査ルートの略図

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図6. 調査したAルート下部の林内写真。
モミ、スギ、カシ類が優占し、暗い林内にアオキが繁茂する



【調査方法】
 例年ツクツクボウシタケの発生初見は7月中旬頃である。そこで、2008年、2009年とも7月7日を観測初日と定め、それ以降2008年は9月30日、2009年は10月14日までの間、毎週1回、このルート沿いに観察を行い、その発生位置を記録した。また、2009年にはAルート最上部の残月亭跡で土壌温度と土壌PHを測定した。

【結果】
 2008年、2009年ともツクツクボウシタケの初見は調査開始2週目の7月14日で、それぞれ1固体でいずれもAルートであった。それ以降、日を追う毎に発生数は多くなり、2008年では8月19日に70個体、2009年では8月5日に60個体の、それぞれ新規発生数の最高を示した。それ以降、順次減少し、新規発生の最終日は2008年は9月23日の3個体、2009年は10月7日の2個体となったが、2008年は9月30日で調査を打ち切ってしまったため、それ以降も幾ばくかの発生があった可能性が残る。一方、Bルート、CルートではAルートに比べ発生数は少なく、2009年でのCルートの最大発生は8月12日で新規発生数は7個体であった。結局、2008年の総発生数は293個体、2009年は242個体となった。図7では2008年と2009年の新規発生数と残存個体数を棒グラフで示すと共に、仙台地方気象台の最高最低気温、湿度、それに残月亭跡で調査時に測定した土壌温度を示した。実際に現地での観察時には気温がその前よりも特に低いと感じた時期には発生数が少ない傾向が感じ取られたが、グラフではそのような差は顕著に表れていない。

 ツクツクボウシタケの子実体は短いものでは1週間程度、長いものでは3週間ほど地上に現れている(図8)。新規発生と残存している子実体を合わせた数は2008年では8月19日がピークで130個体に、2009年では8月12日で90個体に達した。

 2008年と2009年の発生ピーク時における発生場所を比較してみると(図9)、ほんの少し場所を違えてはいるが、両年ともほとんど同じ場所に発生していると言える。

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図7. 2008年と2009年におけるツクツクボウシタケの発生状況。
調査時に土壌温度を測定。最高最低気温、湿度は仙台地方気象台の発表データによる。
赤いスクリーントーンはその前後に比べて特に気温が低かった時期をおおよそで示す。

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図8. ツクツクボウシタケの発生から消滅まで

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図9. 2008年と2009年のAルートにおける最大発生時の発生場所比較


【考察】
 ツクツクボウシタケは冬虫夏草属の中で、一番普遍的に見られる種類と言え、日本、中国、台湾、南アメリカ、スリランカ、マダガスカル、ニュージーランドでその発生が確認されており、日本では宮城県から沖縄の石垣島までの分布が知られている。宿主のツクツクボウシ自体は温暖な気候に生育するもので、「元来北日本では局地的にしか分布していなかったのが、近年、盛岡や仙台においてこのセミが増えつつある。特に盛岡ではアブラゼミが激減している(仙台でも減少している)が、ツクツクボウシは逆に増えている。これは地球温暖化が原因と考えられる」という(ウィキペディア Wikipedia; https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%AF%E3%83%84%E3%82%AF%E3%83%9C%E3%82%A6%E3%82%B7 による)。ツクツクボウシタケは宿主をツクツクボウシに限らないので、セミと菌の分布域は必ずしも一致しないが、これまで菌の発生が報告されているのは仙台、すなわち東北大学植物園が北限であり、これ以北での報告は知られていない。

 東北大学植物園は400年続くモミを主体とした自然林を中心に、伐採を止めてから50年以上も経つコナラ二次林、アカマツ林、スギ林など様々なタイプの植生があり、そこに生育する動植物に多様な環境を提供している。本園での冬虫夏草菌類の調査は植物園を訪れる研究者や愛好家によりかなり古くから断片的に行われてきており、ツクツクボウシタケの発生はかなり以前から知られていたが、その大発生が認められるようになったのは2004年の夏からである。それ以降、毎年大発生が認められ、それを受けて2008年、2009年と調査を行ったのが今回の結果である。一般にツクツクボウシタケの発生はあるときに大発生して注目を受けるが数年でほとんど発生を見なくなるなど、変動の激しいもので、本植物園のように5年以上も続けて大きな発生が続いている例はあまり知られていない。このような継続した大きな発生の原因には、ひとつには本園に良好な自然環境が保持されていることにより宿主であるツクツクボウシの生育に好適であることを挙げることができるだろう。しかし、その近年の大発生を考えると、仙台地方で1960年代から現在までに年平均気温が2度上がったと言われるような温暖化によるツクツクボウシそのものの北上がその勢いを増していることも考えなければならないのかも知れない。

 今夏の調査で、ツクツクボウシタケの発生は7月中旬に始まり、8月中旬に発生のピークとなり、10月上旬に最後の発生を見ることが明らかになった。一般に冬虫夏草類は発見すること自体が難しく、その採集は往々にして「幸運」な時に限られるため、発生のピーク時での採集報告が多く、いつ発生が始まり、いつ終わるかについてのデータに基づく知見は殆ど無い。その意味で今回の調査は冬虫夏草類の生活史を解き明かす大きな一歩となったと言える。また、発生時の気温、湿度、土壌温度との関係の解析を試みたが、データが少ないため、明白な傾向は捉えられなかった。更に、新規発生個体数を正確に把握するため発生場所をプロットしたことにより、2008年と2009年の両年における発生場所を比較することが可能となった(図9)。両年の発生個体数に違いはあるものの、発生場所はほとんど同じであることが分かった。これはツクツクボウシの幼虫自体が地上に出ようとする場所が同じ様な条件の場所を選んだ事によるものとも考えられるが、ツクツクボウシタケ菌自体が生育しやすい場所であることも考えられ、今後の更なる調査が望まれる。

【参考文献】
小林義雄・清水大典(1983)冬虫夏草菌図譜。 保育社。 清水大典(1997)冬虫夏草図鑑。 家の光協会。 清水大典(1979)グリーンブックス51。 冬虫夏草。 ニューサイエンス社。

【要約】
 ツクツクボウシタケ Isaria sinclairii (Berk.)Lloyd は子嚢菌類バッカクキン目スチルベラ科の不完全世代の冬虫夏草類で、セミ科のツクツクボウシの幼虫に寄生し、子実体を発生する。東北大学植物園はモミを始めとする多様な樹種よりなる自然林が拡がり、毎年大量のツクツクボウシの発生が見られることから、ツクツクボウシタケの発生は以前から知られていた。しかし、近年になり、大発生とも言える様相を呈したので、2008年と2009年に園路沿いに調査区を設定して夏から秋にかけて毎週1回、その発生の状況を調査した。その結果、初発は両年とも7月5日に観察され、週を追う毎に発生数は増え、そのピークは2008年では8月19日で70個体、2009年では8月5日で60個体であった、最終発生は2009年には10月7日であることが確認された。結局、同一調査地域内で2008年には293個体、2009年には242個体の発生が見られたことになった。この発生と環境要因として気温、湿度等との比較がなされたが明確な傾向はつかめなかった。

【SUMMARY】
Isaria sinclairii (Berk.) Lloyd is a kind of insect-parasitic fungus belonging to the Stilbellaceae of the Clavicipitales (Ascomycota). It is an imperfect generation that parasitizes cicada larvae, most commonly it infects to Meimuna opalifera Walker. Recently, it came to be often found in the Botanical Garden of Tohoku University in Sendai. Therefore, we set up a research areas along the trail in the garden and observed weekly when, where and how many it occurred in 2008 and 2009. The first occurrence was mid of July in both years. The maximum occurrence was August 19 (70 individuals) in 2008 and August 5 (60 individuals) in 2009. Last occurrence was October 7 in 2009. In total, 293 individuals in 2008 and 242 individuals in 2009 were recorded in the research areas. The occurrence was compared with temperature and humidity, but we could not find any strong interrelationships between them.

東北大学植物園の冬虫夏草属類フロラ

【はじめに】
 ここでいう「冬虫夏草属類」とは子嚢菌類Ascomycota核菌綱Pyreonmycetesバッカクキン目Clavicipitalesのバッカクキン科Clavicipitaceaeおよびスチルベラ科Stilbellaceaeのキノコのうち、昆虫の成虫や蛹、幼虫、クモなどに寄生して子実体を形成する完全世代の冬虫夏草Cordycepsおよびその近縁属とそれらの不完全世代とみなされるものからなる一群の菌類を指し、いわゆる「虫草」である。中国の冬虫夏草Cordyceps sinensis(Berkeley)Saccardoには薬効があるとして注目されている。

 昆虫に寄生して独特の子実体を作ることで大変興味深い冬虫夏草属類だが、その発生は移動性の宿主である昆虫と子実体を作らない限りほとんど認識が難しい菌類とのまったく偶然の「めぐりあわせ」によって決定されるため、それらを見つけて観察・採集できるのも「偶発的」である場合が多い。東北大学植物園はその敷地の大部分が400年の歴史につながる自然林で有名だが、園内には様々なタイプの森林があり、そこを住み処として生育する動植物も多く、多様性に富んだ生態系を創っている。そのような場所なので、冬虫夏草属類の発生にも大いに期待できることから、矢萩を始めとする著者らが長年にわたり観察を行ってきた結果、比較的多くの種の存在を明らかにすることができたので、ここに簡単に紹介することにした。

 しかし、ツクツクボウシタケのように何年にもわたって決まったところに多く発生するものは極めて例外的であり、冬虫夏草属類の発生は偶然に左右されてしまうため、普通の植物調査のようなわけには行かない。そこで、ここに発表できるデータは極めて断片的であることに留意する必要がある。

【調査地域】
東北大学植物園公開地域(約30ヘクタール)
場所 : 宮城県仙台市青葉区川内12-2  東経140度50分、北緯38度15分附近
園内の標高 : 約60~146m

【確認された冬虫夏草属類】
 これまでに見つけることができた冬虫夏草属類は、表1に見られるように、完全世代が未記載の種1種を含む11種の冬虫夏草属Cordyceps とトルビエラ属Torrubiella の1種である。不完全世代はイザリア属Isaria の3種、ヒメノスチルベ属Hymenostilbe の未記載種1種を含む2種、それにギベルラ属Gibellulra 、パエシロミセス属Paecilomyces 、ポリセファロミセス属Polycephalomyces のそれぞれ各1種で、完全世代と合わせて合計20種である。なお、アオバヤマクチキムシタケ、キマワリムシタケはいずれも仮名としているが、これは未記載種であることがほぼ確実なもので、資料の集積を待って正式に記載する予定のものである。

 表1では筆者らが植物園で冬虫夏草属類の観察をするようになった1980年代頃以来2009年までに、記録に残っている個体数を記している。圧倒的に多いのが1個体のみ発見された13種であるが、これまでにコナサナギタケが5個体、サナギタケ、ギベルラタケ、ハナサナギタケ等では数十個体以上が見つかっている。また別報(本誌79~85頁)にあるようにツクツクボウシタケは数百個体に及ぶ。

 今回、東北大学植物園の冬虫夏草属類フロラとして20種類を挙げることができた。これが、対象となった面積や東北であるという地域性などを考慮した場合、発生数が多くて多様性に富むのかどうかについては明言できない。何故なら、冬虫夏草類は調査すれば誰もが見つけられるというものではないし、その発生が年や場所、あるいは天候など未だ特定されていないさまざまな要因が複雑に絡み合った結果と考えられるからである。その意味で、今後ともできれば定量的な調査を継続したいと考えている。

【参考文献】
小林義雄・清水大典;「冬虫夏草菌図譜」、 保育社、(1983) 清水大典;「冬虫夏草図鑑」、 家の光協会、(1997) 清水大典;「グリーンブックス51」冬虫夏草、 ニューサイエンス社、(1979)

【要約】
 冬虫夏草属類とは、子嚢菌類のバッカクキン目のうち、昆虫の成虫、蛹、幼虫やクモ類、それにバッカクキン目の菌核やツチダンゴ類の子実体に寄生する冬虫夏草属Cordyceps およびそれに類縁の一群の菌類を指す。東北大学植物園は400年の歴史を持つ都市部にある自然林として有名だが、園内にはモミを主体とした自然林を始め様々なタイプの森林があり、そこを舞台として様々な昆虫や生物が棲息している。筆者らはここで1980年代以来冬虫夏草属類の調査を続けてきており、2009年までに20種を認識することができたので、ここに報告する。内訳は、未記載種1種を含む11種の冬虫夏草属とトルビエラ属の1種が完全世代であり、不完全世代はイザリア属の3種、ヒメノスチルベ属の未記載種1種を含む2種、それにギベルラ属、パエシロミセス属、ポリセファロミセス属のそれぞれ各1種である。なお、これらの20種には未記載種2種が含まれ、それらについては別途報告する予定である。

【SUMMARY】
The so-called "Tochu-Kasou" is a group of parasitic fungi of Cordyceps and its allies in the Clavicipitales of the Pyrenomycetes (Ascomycota). It infects to imago, chrysalis and larva of insects, spiders and others and produce a fruiting body. It is usually very rare in the fields and its discovery is often ruled by chance. The Botanical Garden of Tohoku University has very old natural forests dominated by Abies firma, Cryptomeria japonica, Fagus japonica, Quercus serrata and Q.crisupula, several species of evergreen oaks, Carpinus laxa, Acer species and many other deciduous tree species. Because of such matured natural forests, biodiversity in the garden is fairly high, and the entomogeneous fungi are rather rich in occurrence. We have investigated the occurrence of the Tochu-Kasou in the garden since 1980, and found 20 taxa until 2009. Eleven species of Cordyceps and one species of Torrubiella were recognized as the perfect generation. Three species of Isaria, two species of Hymenostilbe and each one species of Gibellula, Paecilomyces and Polycephalomyces were recorded as the imperfect generation. In this paper, we listed those recognized taxa in Table 1 with their photographs.

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図1.コメツキシロヒメタンポタケ。甲虫類のコメツキムシの幼虫
(土壌中に棲息)に寄生する完全世代。2008年7月15日撮影

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図2.マルミノアリタケ。アリの成虫に寄生する菌で完全世代、朽木や土中から出る。
宿主のアリの種類は不明。2008年7月8日撮影

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図3.ウスイロタンポタケ。甲虫類の幼虫に寄生する完全世代でコメツキタンポタケに
よく似るが、それよりもやや大振りである。2008年7月15日撮影

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図4.カメムシタケ。カメムシ類の成虫に寄生する完全世代。長い柄が特徴で、
ミミカキ型の綿棒に似ているのでミミカキタケとも言う。2008年8月26日撮影

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図5.チッチゼミの幼虫に寄生したツブノセミタケ。
子実体の長さは18cm以上。
ナラの大木の根元に発生。本種は2009年までに1個体発見している
(表1参照)が、この写真は2010年10月20日撮影。青葉山植物園で2個体目

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図6.オイラセクチキムシタケ。倒木内のコメツキムシの仲間の幼虫に発生する
完全世代。2008年10月26日撮影

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図7.クチキツトノミタケ。オイラセクチキムシ同様、コメツキムシの幼虫に寄生する完全世代で倒木上にあらわれる。2008年9月2日撮影

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図8.アオバヤマクチキムシタケ(仮称)。朽木中の甲虫類のコメツキムシの幼虫に寄生する完全世代で、形態的には Cordyceps helopis やマイヅルナガエムシタケ C. sp. に似るが、子実体柄の太さ、色彩などで異なり、新種であると考えている。2008年9月2日撮影

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図9.イネゴクモタケ。樹木の枝葉などに棲息するヒメグモ科の小型のクモにのみ感染する極めて珍しいトルビエラ型の虫草菌である。2008年9月9日撮影

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図10a.ギベルラタケの側面観。クモに寄生する不完全世代。2008年7月22日撮影 図10b.ギベルラタケを上から見たところ。
aとは別個体。2008年10月26日撮影

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図11a.アオキの葉上で大発生したギベルラタケ。
1本のアオキにいくつもついている白斑が
ギベルラタケ。2009年10月18日撮影
図11b.アオキの葉の裏の未熟で子実体が
伸びていないギベルラタケ。
2009年10月16日撮影

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図12a.ヤンマタケの側面観。分生子で世代を作る不完全世代で、トンボの各節から子実体が多数出ている。2008年10月21日撮影 図12b.ヤンマタケの腹面観。
2008年10月21日撮影

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図13a.キマワリムシタケ(仮称)。ゴミムシダマシ科のキマワリの幼虫に寄生する不完全世代。モミの大木の下の朽木から出ているのを発見。未記載種である。2009年9月30日撮影 図13b.キマワリムシタケ(仮称)。
子実体の拡大。2009年9月30日撮影

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図14.ツキカメムシに生じたコナサナギタケ。本種は一般に鱗翅目の昆虫に寄生する不完全世代で比較的普通に見られるが、カメムシに寄生するのは珍しい。2008年10月7日撮影

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図15a.ハナサナギタケ。蛾の幼虫、蛹に発生する不完全世代で、子実体が箒状に枝分かれする。2008年10月22日撮影 図15b.ハナサナギタケ。
2008年9月23日撮影

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図16a.園内で最もポピュラーなツクツクボウシタケ。ツクツクボウシや他のセミの幼虫に発生する不完全世代で、子実体が複数出て枝分かれする。大きな子実体を形成。
2008年7月29日撮影

図16b.ツクツクボウシタケ。
子実体からは盛んに
胞子が飛散している
2008年7月29日撮影

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図17.マユダマタケ。一般に鱗翅目の幼虫に寄生するが、クモ、コメツキムシなど様々な昆虫類にも寄生する不完全世代で、子実体の先が繭玉のように丸くなる。
2008年11月5日撮影

N.M.I.
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