研究・論文

2004年3月 ハナサナギタケ培養液の抗腫瘍効果

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2004(平16)3月29日〜31日・日本薬学会第124年会(大阪市)

【目的】我々はこれまでに、虫草菌の一種であるハナサナギタケ(Isaria japonica Yasuda)培養液が、細胞依存型の免疫応答を増強すること、制がん剤 fluorouracil(5-FU)による免疫応答の低下を改善すること、消化管免疫において5-FUで低下したバイエル板細胞数の回復とTh1による免疫応答を選択的に増強することを明らかにしてきた。本研究では、ハナサナギタケ培養液凍結乾燥品(IJCE)の担癌モデルマウスに対する抗腫瘍効果 について検討した。

【方法】4週齢のddY系雄性マウスの腹腔内にSarcoma180癌細胞106個を接種し、24時間後から1日1回5日間検体(IJCE、5-FU、MC、IJCE+5-FU、IJCE+MC)を腹腔内に投与した。55日間マウスの死亡の有無を確認し、癌細胞のみを投与した対照群と生存日数の平均値を比較した。

【結果および考察】IJCE(3mg/kg)単独投与では生存日数の延長は対照群に比較してわずかしか(1.13倍)観察されなかったが、 IJCE(3mg/kg)と5-FU(10mg/kg)を併用すると5-FU単独での生存日数の延長(1.38倍)が大きく(1.87倍)拡大した。 10mg/kgのIJCEと5-FU(10mg/kg)の併用により生存日数はさらに延長した(2.50倍)。MitomycinC(MC)とIJCEの併用においても生存日数の延長が観察された。また、in vitroの実験でIJCEはJ774-I細胞によるTNF-αs産生を増加する作用があることが明らかになった。本研究から、 IJCE(ハナサナギタケ培養液)には他の制癌剤の抗腫瘍作用を増強する効果 があることが明らかになり、その効果には単球系細胞の活性化が関与している可能性が示唆された。

※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。

N.M.I.
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