紀行・分類図鑑

冬虫夏草 ウンカハリタケ

冬虫夏草 ウンカハリタケ.jpg

ウンカハリタケ
Cordyceps sp.

発生地:山形県・釜渕
採集年月日:Aug.18,1977

同翅亜目Homoptera、コガシラウンカ科のナワコガシラウンカRhotala nawai Matsumuraの成虫に寄生した虫草菌である。奥山のブナ、コナラ、ミズナラ、サワグルミ、トチノキ、カツラ、スギの混じる広葉樹林帯の山地渓畔にて 発見された。

本種は地生型の虫草菌で、宿主である昆虫の胸部より発生し、地上部の子実体の高さは6cm、太針型の円柱状で、やや硬い繊維肉質、淡黄赤褐色であった。 柄の先端は細まり、太さ0.8-1mm、上半部に結実部を造り、ラセン状に赤褐色の子嚢殻peritheciumを発生させる。

子嚢殻は裸生、卵形300-350×225-250μ、子嚢胞子は130×1-1.5μであった。

1949年、秩父大血川で最初に発見記録され、1977年に本種の発見、のち1981年には故渡部正一氏によって山形県山刀伐峠で採集されている。発生は極めて稀、日本特産。

〔追記〕宿主であるコガシラウンカは主に深山渓畔に生息する昆虫で、本種の発生地は人工による深山の自然林伐採と共に自然環境が破壊され、4例目の発見は 未だ実現されていない。

感染症 VOL.36 No.1より

N.M.I.
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