紀行・分類図鑑
冬虫夏草 アワフキムシタケ
アワフキムシタケ(中国名:吹沫(スイマツ)虫草)
Cordyceps tricentri Yasuda
発生地:山形県・釜渕
採集年月日:July.28,1978
同翅亜目Homoptera、アワフキムシ科Cercopidaeの 昆虫に感染、寄生する地生型の虫草菌で、枯葉堆積中に埋もれるアワフキムシ胸部より発生し、ミミカキ型の子実体を地上部に現す。
本種はモンキアワフキ虫に寄生する虫草で、一般にアシ(葦)、ススキなどの生える小川、河川近くの広葉樹林帯に発生する。
地上部の子実体は単立、5〜15cm、橙黄色で、頂部に肉質の長楕円形、または紡錘形の結実部を造る。大きさ6-10×1mm、先端は尖り、子嚢殻 peritheciumの口縁部が乳頭状に突起し、表面に密布する。
柄は糸状の繊維質、太さは0.35-0.5mm、平滑で、全体的に淡橙黄色である。
子嚢殻は斜完埋生、長い細口瓶型、700-800×50-200μで、子嚢ascusは350×7μ、子嚢頭部の幅6-7μ、高さは5-6.3μ。二次胞子sec-sporeは9-10×1.2-1.5μの大きさで、長紡錘形に分裂して空中に飛散する。
日本、台湾、中国に分布する。
N.M.I.による人工培養成功。
感染症 VOL.35 No.6より