紀行・分類図鑑

冬虫夏草 サキブトカイガラタケ

000126.jpg

サキブトカイガラタケ
Cordyceps yahagiana Y.Kobayasi et D.Shimizu

発生地:山形県最上郡釜渕
採集年月日:July.15,1978

同翅亜目Homoptera、カイガラムシ科Coccidaeの比 較的大型のカイガラムシに寄生する冬虫夏草属菌で、子実体の頂部はバット状に膨れ上がり、先端部に子嚢殻peritheciumを発生させるのが特徴であ る。

カイガラムシに寄生する虫草としても最も基本的な種は1969年、山形県川西町玉庭にて初めて発見されたカイガラムシツブタケC.coccidiicola Kobayasi et Shimizuがあり、また、発見当初ヤハギカイガラムシタケと命名されたハリガタカイガラムシタケCordyceps sp.などがある。

本種は気生型の虫草で、湿度の高い渓谷、流畔のタニウツギの枝幹に着床していて、追培養によって子嚢殻を形成させるのに成功した虫草菌である。

子実体の高さ4.5〜5.5mm、頂部の径0.8mm、基部の太さ0.2〜0.4mm、色は淡黄褐色で、繊維肉質の子実体を7本叢生させる。頂部 の結実部には洋梨型、淡紅色の子嚢殻を裸生型に発生させる。二次胞子sec-sporeは6-7×3μで空中に飛散、世代を繰り返す。

N.M.I.による人工培養成功。

〔追記〕追培養について:野外から採取された未熟sterileの虫草菌を保湿度の高い(岩ゴケなど)容器内で、子嚢殻が形成するまで人工的に管理培養する方法。
本種は発見者の私の名に因んでCordyceps yahagianaと命名された。

N.M.I.
聞く