紀行・分類図鑑

冬虫夏草 サナギタケ

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サナギタケ(中国名:鱗蛹虫草)
Cordyceps militaris(Vuill.)Fr.

発生地:山形県最上郡釜淵鶴ヶ田沢
採集年月日:July.28,1977

鱗翅目Lepidopteraの蛾や蝶の蛹、幼虫に寄生する虫草で、子実体は棍棒状、スリコギ棒状で地生型に発生する。頭部は朱黄 色、淡朱橙色で、柔らかい肉質、柄は淡色で地上部の高さ1.3〜6.5cmである。上部に半裸生型の子嚢殻 Perithecialを形成し、先端が粒点状に細かく突出する。

胞子果は卵形450-670×230-370μ。二次胞子Sec.ascosporeは短冊状で、子のうAscospore400-420×3-4μに 内包する。

発生期は7〜8月の夏が最盛期で、写真はブナの葉を食すブナアオシャチホコ(Desmeocraerapunctatella Motschulsky)の蛹に寄生したものである。

1951年、英国、グラスゴー大学教授Cunninghamは、サナギタケから低分子化合物である核酸Cordycepinを単離し、枯草菌、抗酸菌に 効果 のあることを発表している。

1983年、第22回日本薬学学会東北支部大会(岩手医科大学歯学部)「サナギタケ、コサナギタケの培養とその抗腫瘍成分について」と題して発表した。 元東北大学薬学部・近藤嘉和助教授、東北薬科大学第2癌研究所・佐々木健一教授、石川正明助教授らと共同研究(1982)。

サナギタケに含有するステロイド骨格のErgosterol peroxide(5α、8α-Epidioxy-5α-ergosta-6,22-dien-3β-ol)を単離した。エルゴステロール・パーオキサイ ドはin vitro、33μg/mlでマウスのHepatocellular carcinoma cell lineの増殖を完全に抑制した。

N.M.I.による人工培養成功。

感染症 VOL.27 No.2より

N.M.I.
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