紀行・分類図鑑
冬虫夏草 ガヤドリナガミノツブタケ
ガヤドリナガミノツブタケ(スズメガタケ)
Cordyceps tuberculata(Leb.) Maire f.moelleri(Henn.) Y.Kobayashi
発生地:山形県・釜渕
採集年月日:Aug.3,1980
鱗翅目Lepidoptera、主にスズメガ科Sphingidaeの 蛾の成虫に寄生し、まれにカラスアゲハの成虫に発生する。
成虫に寄生する虫草には、ハチタケ、ハエヤドリタケ、アリタケ、カメムシタケ、ヤンマタケなどが知られている。虫草が寄生する宿主hostとして幼虫 に、また虫草菌の種類は異なるが成虫にも寄生する虫草は鱗翅目の昆虫のみである。
子実体は不整形、不規則の太針円柱状または棍棒状で、白色綿毛質、やや硬い肉質。高さ3〜10mmである。虫体の腹部、背部より1〜20本に及び、叢生 する。
結実部の子嚢殻peritheciumは主に子実体の中央部から上部に集まり、ときには体表を覆う菌座上にもまばらに発生する。裸生型で卵形または楕円 形、美麗な黄色を呈する。老熟すると黄褐色に変わる。大きさは460-560×200-250μ。ツブタケ型。
子嚢胞子ascosporeは細長い糸状で、子嚢頭部の径は5×5μ。放出後、隔壁から分裂して2次胞子sec-sporeとなり空中へ放射状に飛散する。
2次胞子の大きさは3.5-8.5×1-1.2μである。気生型で、山地の渓畔に近い林内の倒木上、葉、立杉の根元、日陰崖の壁面にまれに着生する。
1941年に発見、記録され、世界的に分布は広い。発生時期は6月末から9月末に及ぶ。
N.M.I.による人工培養成功。
感染症 VOL.28 No.4より