紀行・分類図鑑

冬虫夏草 クキジロサナギタケ

クキジロサナギタケ.jpg

クキジロサナギタケ
Cordyceps militaris f.sp.

発生地:山形県・戸沢村角川
採集年月日:Sept.15,1980

鱗翅目Lepidopteraの蛾の幼虫、蛹に寄生する完全世代型の虫草菌で、結実部 より下の茎の部分が根元まで純白なのでこのように命名された。世界的に分布が広く、平地から高山帯まで発生する標準型のサナギタケC.militaris(L.:Fr.)Fr. は、子実体が全体的に朱紅色で、ウスキサナギタケC.takanomontana Yakusiji et Kumazawaの場合も地上部の子実体は淡黄色、老熟すると暗色となる。

1949年に超一級クラスの稀品に相当するシロサナギタケが、秩父天目脊稜の長沢山から発見されていることが虫草菌の泰斗、故清水大典先生によって伝え られている。

本種は、山形県戸沢村角川の山奥に秘湯として知られている今神温泉のブナの原生林にて発見された。サナギタケとしては第2の稀種にあたる新しい色彩型の虫 草菌である。

大小二つの子実体、高さ3.5cmと2.7cm、頭部の結実部はカバ色の混じる美しい鮮黄色で、大きさ幅4mm、茎の部分は純白色、サナギタケと比べて やや硬い肉質である。子嚢殻peritheciumは半埋生の卵形で、450-670×230-370μ、子嚢ascusは400-420×3-4μ、2 次胞子sec-sporeは2-3.5×1μ。

感染症 VOL.35 No.3より

N.M.I.
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