紀行・分類図鑑

冬虫夏草 サビイロクビオレタケ

サビイロクビオレタケ.jpg

サビイロクビオレタケ
Cordyceps ferruginosa Y.Kobayasi et D.Shimizu

発生地:青森県・十和田
採集年月日:Aug.8,2002

鞘翅目Coleopteraの幼虫に寄生するクビオレ型の虫草菌で、子実体の先 端は白色の角状に屈曲している。

本種はゴミムシダマシ科の幼虫に寄生したもので子実体が2本、結実部は肥厚し淡黄白色の菌座には赤茶色、埋生の子嚢殻peritheciumの孔口が不 規則に荒く突出している。標準型のサビイロクビオレタケでは結実部が背着性、円盤状で、子嚢殻はサビ色、または赤褐色で埋性、孔口は細かく結実部表面に密布する。その点で本種は色彩、形態を後者の標準型と異にしている。

昆虫の種によって、棲息環境によって虫草菌の寄生や発生を異にするが、いずれも朽木を生活の根拠とするコメツキムシ科やゴミムシダマシ科の昆虫に寄生 し、菌核をつくる点で共通の朽木生型虫草菌である。

本種の子実体は太針状で高さ3〜4.5cm、柄の太さ2〜3mmで繊維肉質、子嚢殻は卵形600-650×250-300μ、子嚢胞子は細長い糸状で、2 次胞子は短冊状5-7×1μである。

湿度の高い広葉樹林帯、ブナ、ミズナラ、トチノキ、サワグルミ、カツラなどの生い茂る林内の風倒木、朽ち木上に発生する。

N.M.I.による人工培養成功。

感染症 VOL.34 No.5より

N.M.I.
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