紀行・分類図鑑

冬虫夏草 コガネムシタンポタケ

コガネムシタンポタケ.jpg

コガネムシタンポタケ
Cordyceps neovolkiana Y. Kobayashi

発生地:山形県・釜渕
採集年月日:July.25,1986

鞘翅目Coleoptera、コガネムシ科Scarabaeidaeの 幼虫に寄生する甲虫類では代表的虫草である。

鞘翅目に寄生する虫草は鱗翅目Lepidoptera以上に広い世帯を持つ虫草菌 である。本種は朽木生で幼虫の背部、頭部、ときには尾部より美しい橙黄色の子実体を発生させる。まれに地生型がある。

直径1m以上に及ぶ風倒木、半ば朽ちたブナの巨木等、広葉樹林帯の原生林内に発生する。原生林の乱伐と共に自然界の生物生態系が破壊され、近年、この種の虫草菌の発見は希有のものとなった。

子実体stromaは単一か2〜5個発生し、頭部に橙黄色の球形、または扁球形の子嚢果ascomaをつくる。柄は淡褐色、円柱状で柔らかい肉質、基部は 殆ど白色である。高さ約1〜2cmとなる。

子嚢殻peritheciumは完埋生型で、頭部の子嚢果表面に粒点状に密布する。卵形、または楕円状で大きさ340-460×140-165μ。

子嚢胞子ascosporeは細長い糸状で、空中に放出後、隔壁から分裂して冊状の2次胞子となる。子嚢の大きさ230-300×9-10μ。子嚢頭部 ascusは球状、直径4-5μ。2次胞子は3-8×2μ。

N.M.I.による人工培養成功。

感染症 VOL.28 No.6より

N.M.I.
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