紀行・分類図鑑

冬虫夏草 ハチタケ

ハチタケ.jpg

ハチタケ(中国名:黄蜂虫草)
Cordyceps sphecocephara(Kl.)Sacc.

発生地:山形県最上郡赤倉山刀伐峠
採集年月日:Aug.20,1983

膜翅目Hymenopteraに寄生する虫草で、ハチやアリの成虫に寄生する。 子実体はハチの頸部から発生し、ミミカキ型で長楕円形、または円筒状の頭部と細い柄からなる。地上部は3.0〜10cm繊維様肉質で、淡黄色、クリーム黄 色で、頭部の表面 には子嚢殻が斜埋生型に密布する。

子嚢胞子ascosporeは細長い糸状で、分裂して狭紡錘状の2次胞子(9.0〜1.2×1.7〜2.0μ ) Sec.ascosporesとなり、空中に放出し 、飛翔しているハチに感染して世代を繰り返す。中南米、中国、日本に分布する。

1754年、スペインの宣教師Jose Toorrubiaは西インド諸島にて蜂が草と化して、地上から植物となって(子実体)発生する図を描き、ヨーロッパの人々を驚かした。

昆虫の組織組成を栄養源とし、体組織を構成する有機酸、蛋白質、昆虫表皮のキチン、ケラチン質などの硬蛋白をも分解する酵素、化学成分を含んでいる虫草で ある。

1977年、第16回日本薬学学会東北支部大会(秋田大学医学部)において「冬虫夏草の人工培養と抗腫瘍性について 第一報ハチタケ」と題し、東北薬科 大学第二癌研究所;佐々木健一、斉藤正明らと共同研究、発表する。

ハチタケ人工培養菌のEtOH抽 出FractionにおいてマウスのEhrlich腹水癌細胞106個移 植後、i.p.50mg/kg/day5日間投与で約76%の腫瘍増殖抑制率を示した。

感染症 VOL.27 No.1より

N.M.I.
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