紀行・分類図鑑

冬虫夏草 コナアブタケ

コナアブタケ.jpg

コナアブタケ(学会未記録種)
Isaria sp. nov

発生地:山形県・釜渕
採集年月日:July.31,1979

双翅目Dipteraのアブ科Tabanidae、ウシアブの成虫に寄生す る虫草で、本邦では初めての発見であった。20年目の今年10月23日、同じ地域内で2例目が発見された。双翅目に寄生する虫草には蝿寄生のハエヤドリタ ケ、フトクビハエヤドリタケの他、数種類が数えられ、アブ寄生では幼虫に発生したアブヤドリタケが知られている。

アブの成虫は腐った果実、樹液、花の蜜などに集まり、温血動物から血を吸って生活しているので、フィラリア病や脾脱疸病などの病原菌を媒介することが知 られている。

コナタケには代表的なコナサナギタケ、ハナサナギタケが知られているが、鱗翅目寄生であり、分生胞子も一回り大きく、本種と顕微鏡学的に種を異にする。

本種の虫草は大型のウシアブに寄生したもので宿主の体長23〜33mmに及び、極めて珍しい地生型のイザリア型虫草である。

アブの頭部より強靱な弾力性のある白色の子実体を発生させる。地上部の大きさ2-3×69-78mm。2〜5本を叢生する。柄は細長く、頂部は僅かに折 れ曲がり、淡い朱色で表面には白色粉状の分生胞子conidia sporesを穂のような頂部に密布させる。分生胞子は円形で大きさ0.8〜1.0μ。

N.M.I.による人工培養成功。

感染症 VOL.30 No.1より

N.M.I.
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