学会発表
- [2008年] 『昆虫寄生菌ハナサナギタケPaecilomyces tenuipes培養液由来糖タンパクの5-fuluorouracil誘導マウス貧血に対する改善効果』
- [2010年5月20日] 東北大学植物園に生息する冬虫夏草属
- [2009年10月18日] 『生体外試験による冬虫夏草属の抗酸化作用、および抗肥満作用の検索』
- [2009年10月4日] 『玄米培地で産生した冬虫夏草属 Isaria farinosa と Isaria sinclairii の抗腫瘍効果について』(京都市・京都薬科大学)
- [2008年9月19日〜20日] 『日本冬虫夏草のミジンイモムシタケ、マルミノアリタケ、ウスキサナギタケ、サナギタケ培養液の抗腫瘍効果』
- [2008年3月26日〜28日] 『ミジンイモムシタケ Cordyceps sp.TY-262人工培養におけるコラーゲン様ゲル塊の産生について』
- [2008年3月26日〜28日] 『日本冬虫夏草のミジンイモムシタケ、マルミノアリタケ、ウスキサナギタケ、サナギタケ培養液の抗腫瘍効果』
- [2007年3月28日〜30日]『冬虫夏草属菌の一種、ミジンイモムシタケCordyceps sp.TY262のラット肺マトリックスメタロプロテアーゼ阻害作用』
- [2006年3月28日〜30日] 『ハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)培養液の抗腫瘍効果(2)』
- [2005年3月29日〜31日] 『ハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)培養液の抗腫瘍効果』
- [2004年3月29日〜31日] 『ハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)培養液の抗腫瘍効果』
- [2003年3月27日〜29日] 『ハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)培養液の消化管免疫応答に及ぼす影響』
- [1995年6月] 『日本冬虫夏草の人工栽培および動物実験による薬理解明と癌闘病者に対する臨床調査』
- [1983年] 『サナギタケ、コナサナギタケの培養とその抗腫瘍成分について』
- 『ハチタケの抗腫瘍性』
- 『山形県真室川町で採集された冬虫夏草』
- 『ハナサナギタケとツクツクボウシタケのパイエル板構成細胞にたいする選択的なサイトカイン産生の増強効果』
[2008年] 『昆虫寄生菌ハナサナギタケPaecilomyces tenuipes培養液由来糖タンパクの5-fuluorouracil誘導マウス貧血に対する改善効果』
2008年 Biol. Pharm. Bull. 31(8)1565-1573(2008)
先に本研究室では,Paecilomyces属の昆虫寄生菌であるハナサナギタケの分生子を静置培養して得られる代謝液(PTCF)には, T helper 1優位な免疫応答を誘導する活性があることを見出すとともに,その活性成分の一部は,~35 kDの多糖とタンパクの混合物(糖タンパク)であることを報告した.さらにこの高分子画分はマウス小腸パイエル板細胞を刺激して,granulocyte-monocyte-colony stimulating factor(GM-CSF)の産生を顕著に増加させる活性も認められた .そこで,本菌の培養代謝液がGM-CSF産生を促す作用に着目し,高分子画分をさらに精製して得られた15 kD糖タンパクをマウスに経口投与して骨髄機能改善効果があるかを調べた.
【P. tenuipes静置培養代謝液の免疫活性成分】
ハナサナギタケ培養代謝液PTCFの凍結乾燥粉末をEtOH沈澱と透析(MV<7.800 D)法により高分子画分に分け,次いでDowex(R) 50 W x 8 - Cation exchangerカラム吸着後,1Nピリジンで溶出して分画物を得た.この画分をさらにSepharose CL-6Bゲルろ過カラムに水で通導してFr.1~100を取り,Fr. 20-25をまとめたものを活性画分(PGF)とした.PGFはゲルろ過カラムPDA-HPLCで分析すると,分子量がほぼ15 kDのRTに単一のピークが認められた.さらにPGFをトリプシン処理してMALDI-TOF/MS分析すると,m/z [M + H]+ が1243.99~3488.3にそれぞれ11個の明確な分子イオンピークが認められた.PGFについてフェノール硫酸法およびローリー法により成分分析を行った結果,タンパクが90%以上で炭水化物(多糖)が10%未満を占めていることが判った.
【PGFの貧血予防効果】
次に,C57BL/6Jマウスに100 mg/kgの5-fuluorouracil(5-FU)を微静脈注射して貧血を誘発させたモデルを作製し,これにPGFを経口投与して貧血がどのように改善されるかを調べた.そこ結果,PTCF(100 mg/kg/day)およびPGF(1~30 mg/kg/day)を経口投与すると白血球数と赤血球数の減少が抑制され,血小板数の異常増加が軽減された.なお,PGFの単独経口投与は白血球数の改善に対して強い効果をもつことが判明した.貧血改善に対してPGF単独投与は穏やかな作用しか示さなかったことから,臨床において貧血改善に著効する erythropoietin(EPO: 5 U/mouse/day)とPGFを併用して貧血改善効果を調べた.その結果,PGFとEPOは5-FUによる貧血をさらに,強く改善させる効果があることが判った.
【PGFのマウス骨髄erythroid lineageに及ぼす影響】
PGF投与マウスから経時的に採血して血球数を調べたところ,貧血改善と白血球数改善は5-FUの骨髄機能障害期(day 12)よりもリカバリー期(day 18~20における効果が顕著であることが示されたので,マウスから骨髄細胞を採取してerythroidの分化系統がPGFによりどのような影響が及んでいるかを調べた.そこ結果,EPOとPGFを併用したマウス骨髄において,赤血球の前駆細胞集団であるcolony-forming unit(CFU)-erythroidおよびburst-forming unit(BFU)-erythroid mixの形成が増加し,PGFは比較的未分化な赤血球前駆細胞を刺激して貧血を改善している可能性が示唆された.
【PGFのマウス骨髄myeloid lineageに及ぼす影響】
PGFの単独経口投与は,5-FUによる白血球数の減少を抑える効果があることから,myeloid lineageの前駆細胞集団に対する影響についても調べた.PGF投与後に採取した骨髄細胞をGM-CSF存在下に刺激培養することにより,未投与群から得られたそれに比較して強い前駆細胞コロニー(CFU-GM)の発現が認められた.このことから,PGF はEPO刺激を要求することなく,白血球系前駆細胞の発現を強く促す作用があることが判った.
【まとめ】
以上のことから,昆虫寄生菌であるハナサナギタケPaecilomyces tenuipesを静置培養して得られる代謝液には,5-FU制がん剤による貧血と白血球数減少を改善する効果があり,その活性成分の一つは15 kDのglycoprotein(PGF)であることが示唆された.このPGFによる貧血改善効果は,骨髄細胞の中でもmyeloid lineage選択的であり,erythroid lineageに対してはEPOの刺激を受けることにより促される作用機序に基づくことが明らかになった.このことから,昆虫寄生生成物のPTCFおよびPGFは,がんの化学療法における副作用のうち重篤となる骨髄機能障害を軽減し,現行のがん治療をスムーズさせるサプリメントとして有用であることが示唆された.
現在,PGFのアミノ酸解析と糖鎖解析と併せて骨髄細胞分化・増殖における細胞内分子レベルでの作用機序解析を実施している.


※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2010年5月20日] 東北大学植物園に生息する冬虫夏草属
1.「東北大学植物園における冬虫夏草属ツクツクボウシタケの発生状況」
2.「東北大学植物園の冬虫夏草属類フロラ」
のテーマで共同研究者の東北大学植物園園長、鈴木三男教授が発表しました。
2010年5月20日 会場:淡路島夢舞台国際会議場 日本植物園協会
[2009年10月18日] 『生体外試験による冬虫夏草属の抗酸化作用、および抗肥満作用の検索』
2009年10月18日 日本薬学会東北支部大会第48回(仙台市)
【結果と考察】
30種類の試料中、強い抗酸化作用を示す虫草はなかった。しかし試料の23(混合エキス;ハナサナギタケ、ムラサキクビオレタケ、トウチュウカソウ)と試料の26(混合エキス;ハナサナギタケ、ミジンイモムシタケ、ハナヤスリタケ)は弱いながら抗酸化作用が確認された。それぞれ有効濃度50%はIC50は 111.5と58.9μg/mlであった。
抗肥満作用について、有効濃度比率IRはハナサナギタケでは50.99%、ミジンイモムシタケでは49.75%で、強い活性を示した。
これらの活性がある試料は老化予防、生活様式などによる外因的肥満に対して役立つ可能性が出てきた。
[2009年10月4日] 『玄米培地で産生した冬虫夏草属 Isaria farinosa と Isaria sinclairii の抗腫瘍効果について』(京都市・京都薬科大学)
2009年10月4日 日本生薬学会第56回年会(京都市)
(冬虫夏草属菌蕈研)矢萩信夫、矢萩禮美子
(東北薬大)菅野秀一、石川正明
【目的】
冬虫夏草属菌は、滋養強壮あるいは免疫調整物質として珍重されている。演者らは冬虫夏草属菌 Isaria japonica Yasuda(ハナサナギタケ)培養液が、Sacoma180(S-180)癌細胞に対する増殖抑制効果、細胞性免疫応答増強作用あるいは消化管免疫において制がん剤 5-FU 投与により低下した免疫応答を増強することを報告している [Int.Immunopharmacol.,5, 903-916(2005);日本薬学会第125年会(2005);日本薬学学126年会(2006)]。新たに玄米培地で産生した種々の冬虫夏草属菌の抗腫瘍効果について検討したので報告する。
【方法】
実験動物:4週令のddy系雄性マウスはSLC(日本エスエルシー、静岡)から購入して使用した。試料は、自由摂取させた(1匹のマウスは、およそ 5g/1日摂取)。抗腫瘍活性:1群10匹のマウスに、S-180 癌細胞(1×106個)を皮下接種した。癌細胞を接種して18日後に腫瘍重量を測定した。各群ごとに平均腫瘍重量を求め同時に実施した対照の玄米粉末投与群の平均腫瘍重量との比較から抗腫瘍作用を算出した。NK活性:1群6匹のマウスを使用し、所定の時間に脾臓細胞を採取した。YAC-1細胞は10%FCS添加RPMI培養液で調整した。3H-Uridine で標識したYAC-1細胞(2×105/ml)に対して10倍、20倍、50倍あるいは100倍の脾臓細胞を接触させ5% CO2、37degcで培養した。対照群(Native)として未処置群の脾臓細胞を使用した。脾臓細胞未添加との比較によりNK活性を算出した。
【結果・考察】
マウスにS-180癌細胞を接種して24時間後から18種類の冬虫夏草属菌あるいは複合した冬虫夏草属菌を摂取させた時、Isaria farinosa(コナサナギタケ)(抑制率61.6%)と Isaria sinclairii(ツクツクボウシタケ)(抑制率53.4%)で最も強い細胞増殖抑制作用が観察された。NK活性に及ぼす影響について検討した。 YAC-1細胞と10倍、20倍、50倍あるいは100倍未処置脾臓細胞との接触により、ほぼ細胞比の増大に依存しNK活性の増大が認められた。YAC- 1細胞と20倍の脾臓細胞との接触させた時、コナサナギタケあるいはツクツクボウシタケを5、10あるいは15日摂取ではNK活性の増大が認められた。玄米培地で培養したコナサナギタケあるいはツクツクボウシタケにおける抗腫瘍効果は、免疫調整作用に起因することが示唆された。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2008年9月19日〜20日] 『日本冬虫夏草のミジンイモムシタケ、マルミノアリタケ、ウスキサナギタケ、サナギタケ培養液の抗腫瘍効果』
2008(平20)9月19日〜20日・日本生薬学会第55回年会(長崎)
【緒言】
冬虫夏草属菌は、滋養強壮あるいは免疫調整物質として珍重される。 演者らは虫草属菌Isaria japonica Yasuda(ハナサナギタケ)培養液が、Sarcoma180(S-180)癌細胞に対する増殖抑制効果、細胞性免疫応答を選択的に増強することを報告している。[Int.Immunpharmacol.,5,903-916(2005);日本薬学会第125年会(2005);日本薬学会第126年会(2006)]。新たに作製した冬虫夏草属菌Cordyceps sp.nov.(TY-262)(ミジンイモムシタケ)、Cordyceps formicarum Y.Kobayasi(マルミノアリタケ)、Cordyceps takaomontana Yakushiji(ウスキサナギタケ)、およびCordyceps militalis(Vuill)Fr.(サナギタケ)培養液凍結乾燥品の抗腫瘍効果について検討した。
【方法】
S-180癌細胞に対する抗腫瘍効果は、ddY系雄性マウスにS-180細胞、あるいはEL-4癌細胞に対する抗腫瘍効果は、C57BL系雄性マウスに皮下(固形癌)または腹腔内(腹水癌)に106個を接種した。試料は癌細胞を接種して、24時間後から1日1回10日間経口投与した。固形癌は18日後に腫瘍重量、腹水癌は55日間の生存率を測定し、癌細胞のみを接種した対照群と比較した。マクロファージ細胞の活性化作用は、J774.1あるいはRAW264.4細胞と24時間培養してTNF-αはエルザ法、一酸化窒素(NO)は比色法で測定した。
【結果・考察】
S-180固形癌に対して、Cordyceps sp.nov.(TY-262)(Fig.1)、Cordyceps formicarum Y.Kobayasi(Fig.2)、Cordyceps takaomontana Yakushiji(Fig.3)、およびCordyceps militalis(Vuill)Fr.(Fig.4)培養液凍結乾燥品(10、30、50あるいは100mg/kg)は、用量に依存した細胞増殖抑制作用が観察された。腹水癌に対しては、観察されなかった。J744.1細胞に対してCordyceps militalis(Vuill)Fr.は、用量(0.1、1、10、100μg/mL)に依存したTNF- α産生が観察された(Fig.5)。 Cordyceps militalis(Vuill)Fr.はEL-4固形癌に対しても、ほぼ用量に依存した細胞増殖抑制作用が観察されたが(Fig.6)、腹水癌に対しては、観察されなかった(Fig.7)。 RAW264.7細胞において、いずれの冬虫夏草属菌(0.1、1、10、100μg/mL)もNO産生作用が認められた(Fig.8)。 以上のことから、今回作製した冬虫夏草属菌培養液凍結乾燥品は、いずれもIsaria japonica Yasudaと同様にマクロファージを活性することにより、抗腫瘍作用を示すことが示唆された。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2008年3月26日〜28日] 『ミジンイモムシタケ Cordyceps sp.TY-262人工培養におけるコラーゲン様ゲル塊の産生について』
2008(平20)3月26日〜28日・日本薬学会第128回年会(横浜)
【目的】
ミジンイモムシタケCordyceps sp.nov.(TY-262)(Cs.TY262)は、特に末期癌の転移、あるいは進行に効果があるとされ、本邦あるいはアジア諸国において癌の治療や免疫抑制薬として注目されている冬虫夏草属菌の一種である。本会第127年会において、我々はCs.TY262抽出エキスのラット肺マトリックスメタロプロテアーゼ阻害作用を報告したが、その中でCs.TY262 人工培養液中に、粘着性で弾力があり、安定なコラーゲン様ゲル塊が堆積沈殿することを認めた。そこで、そのゲル塊の組成と利用について検討した。
【方法】
実験方法:ミジンイモムシタケは山形県羽黒山周辺より採取された菌体を人工培養したものである。培養により得られたコラーゲン様ゲル塊は凍結乾燥後、 50mM Tris-HC1にて試料溶液とし、トリプシンあるいはコラゲナーゼにて処理した後、下記のSDS-PAGE法では10%酢酸で溶解し、50mM Tris-HC1にて試料溶液とした試料を用い、次のマウス経口投与では、凍結乾燥粉末を十分に水に懸濁させたものを用いた。 SDS-PAGE:コラーゲン様ゲル塊試料溶液をトリプシン(37℃、5min、Nacalai tesque)、あるいはコラゲナーゼ(37℃、1hr、16.0875unit、collagenaseⅣ、Sigma-Aldrich)にて処理した後、10%SDS-PAGEに附し、タンパク質はCBB染色あるいはゲル−ネガティブ染色にて、糖タンパク質はPeriodicacid- Schiff(PAS)染色により確認した。また、ゲル塊の凍結薄切片(5μm)をコラーゲン・ステインキット(コラーゲン技術研修会)にてコラーゲンと他のタンパク質を分別染色し、その存在様式を観察した。
実験動物:9週齢ddY系雄性マウス
薬物投与:エーテル吸入麻酔下で背部皮下に無菌コットンペレット(20.0±2.0mg)を埋め込んだ。コットンペレットは錠剤型に成型し、全て同重量、同形状を維持した。術後1h後からCs.TY262コラーゲン様ゲル塊凍結乾燥試料を水に懸濁させ、給水瓶より摂取させた。試料溶液は 24hまでの使用とし毎日調整した。投与量はその飲水量から換算し、10mg/kg/dayと100mg/kg/dayになるように試料溶液を調整した。術後10日目にエーテル麻酔下でコットンペレット埋め込み周辺組織を得て試料とした。試料採取の際の写真をFig.3-5に示す。試料はその湿重量及び凍結乾燥後の乾燥重量、及び組織凍結切片(30あるいは15μm)のMayer's-Hematoxylin-EosinY染色による組織形態学的観察を行い比較した。
■Fig.1:Cs.TY262コラーゲン様ゲル塊(Cs.-gel)を凍結薄切し(5μm)、コラーゲンと他のタンパク質の分別染色した結果、赤色に染色されたコラーゲン様繊維タンパク質が認められた。
■Fig.2:Cs.-gel溶液をトリプシンあるいはコラゲナーゼにて処理した後、10%SDS-PAGEに附し、タンパク質をゲル-ネガティブ染色で、糖タンパク質をPAS染色により確認した。その結果コラーゲンにおける両酵素処理のパターンと異なる泳動パターンが得られ、コラーゲン類似の糖タンパク質がその構成要素として重要であることが示唆された。
■Fig.3-5:背部皮下に埋め込んだコットンペレットの10日後の観察である。 ・Fig.3:対照群では埋め込んだコットンペレットにはほとんど変化は認められなかった。
・Fig.4-A:Cs.-gel(10mg/kg.p.o.)マウスではペレット周囲に血管新生を認めたマウスも存在した。
・Fig.4-B:Cs.-gel(100mg/kg.p.o.)マウスにおける、ペレットの皮膚組織への癒着。
・Fig.5:Cs.-gel(100mg/kg.p.o.)マウスにおいて認められた、ペレットを包囲する嚢状組織塊の存在。
■Fig.6-8:上記結果の組織像の詳細な観察である。
・Fig.6:対照群では埋め込んだペレット外周での組織新生はわずかであった。
・Fig.7-8:・Cs.-gel(100mg/kg.p.o.)マウスではペレット外殻に肥厚した組織の新生を認め、さらにその外周と皮膚真皮網状層との間には壊死した組織細胞群を認めた。
■Fig.9:背部皮下に埋め込んだコットンペレットの10日後の重量変化である。湿重量及び乾燥重量共にCs.-gel投与群では対照群に比較し有意に増加していた。
【まとめ】 ◎Cs.TY262コラーゲン様ゲル塊(Cs-gel)にはコラーゲン様繊維蛋白質が認められ、その溶液をトリプシンあるいはコラゲナーゼにて処理した結果、コラーゲン類似の糖蛋白質がその構成要素として重要であることが示唆された。 ◎マウス背部皮下にコットンペレットを埋め込み、10日間Cs-gelを摂取させたマウスでは、ペレットの皮膚組織への癒着、及びペレットを包囲する嚢状組織塊の存在を認めた。このとき、対照群では埋め込んだペレット外周での組織新生はわずかであったが、Cs-gel 投与群ではペレット外殻に肥厚した組織の新生を認め、さらにその外周と皮膚真皮網状層との間には壊死した組織細胞群を認めた。
以上のことから...
Cs.TY262コラーゲン様ゲル塊の摂取は、異物や腫瘍、あるいは悪性腫瘍のような浸潤性増殖細胞の増殖に対する除去作用を有する可能性があることが推察された。詳細は今後さらに検討する予定である。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2008年3月26日〜28日] 『日本冬虫夏草のミジンイモムシタケ、マルミノアリタケ、ウスキサナギタケ、サナギタケ培養液の抗腫瘍効果』
2008(平20)3月26日〜28日・日本薬学会第128回年会(横浜)
【緒言】
冬虫夏草属菌は、滋養強壮あるいは免疫調整物質として珍重される。 演者らは虫草属菌Isaria japonica Yasuda(ハナサナギタケ)培養液が、Sarcoma180(S-180)癌細胞に対する増殖抑制効果、細胞性免疫応答を選択的に増強することを報告している。[Int.Immunpharmacol.,5,903-916(2005);日本薬学会第125年会(2005);日本薬学会第126年会(2006)]。新たに作製した冬虫夏草属菌Cordyceps sp.nov.(TY-262)(ミジンイモムシタケ)、Cordyceps formicarum Y.Kobayasi(マルミノアリタケ)、Cordyceps takaomontana Yakushiji(ウスキサナギタケ)、およびCordyceps militalis(Vuill)Fr.(サナギタケ)培養液凍結乾燥品の抗腫瘍効果について検討した。
【方法】
S-180癌細胞に対する抗腫瘍効果は、ddY系雄性マウスにS-180細胞、あるいはEL-4癌細胞に対する抗腫瘍効果は、C57BL系雄性マウスに皮下(固形癌)または腹腔内(腹水癌)に106個を接種した。試料は癌細胞を接種して、24時間後から1日1回10日間経口投与した。固形癌は18日後に腫瘍重量、腹水癌は55日間の生存率を測定し、癌細胞のみを接種した対照群と比較した。マクロファージ細胞の活性化作用は、J774.1あるいはRAW264.4細胞と24時間培養してTNF-αはエルザ法、一酸化窒素(NO)は比色法で測定した。
【結果・考察】
S-180固形癌に対して、Cordyceps sp.nov.(TY-262)(Fig.1)、Cordyceps formicarum Y.Kobayasi(Fig.2)、Cordyceps takaomontana Yakushiji(Fig.3)、およびCordyceps militalis(Vuill)Fr.(Fig.4)培養液凍結乾燥品(10、30、50あるいは100mg/kg)は、用量に依存した細胞増殖抑制作用が観察された。腹水癌に対しては、観察されなかった。J744.1細胞に対してCordyceps militalis(Vuill)Fr.は、用量(0.1、1、10、100μg/mL)に依存したTNF- α産生が観察された(Fig.5)。 Cordyceps militalis(Vuill)Fr.はEL-4固形癌に対しても、ほぼ用量に依存した細胞増殖抑制作用が観察されたが(Fig.6)、腹水癌に対しては、観察されなかった(Fig.7)。 RAW264.7細胞において、いずれの冬虫夏草属菌(0.1、1、10、100μg/mL)もNO産生作用が認められた(Fig.8)。 以上のことから、今回作製した冬虫夏草属菌培養液凍結乾燥品は、いずれもIsaria japonica Yasudaと同様にマクロファージを活性することにより、抗腫瘍作用を示すことが示唆された。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2007年3月28日〜30日]『冬虫夏草属菌の一種、ミジンイモムシタケCordyceps sp.TY262のラット肺マトリックスメタロプロテアーゼ阻害作用』
2007(平19)3月28日〜30日・日本薬学会第127回年会(富山)
【目的】
冬虫夏草属菌はバッカクキン科Clavicipitaceaeのノムシタケ属Cordycepsに属する子嚢菌類の総称であり、昆虫あるいはクモ類、地下生菌(土団子菌)に寄生して世代を繰り返す。現在、本邦あるいはアジア諸国において昆虫寄生の子嚢菌類が癌の治療薬として注目され、特に末期癌の転移あるいは進行に効果があるとされる。近年、癌の転移におけるプロテアーゼ(MMP)は癌の浸潤・転移・虚血性脳及び心疾患、炎症、あるいは血管新生に関与することが知られている。そこで、ミジンイモムシタケCordyceps sp.TY262 のラット肺組織MMP活性に対する影響を検討した。
【実験方法】
ミジンイモムシタケエキスの調製と抽出:ミジンイモムシタケ菌糸体を75%メタノールで冷浸し、綿栓濾過後に濃縮しエキスを得た。得られたエキスは水に溶解しクロロホルム、酢酸エチル及びn-プタノールにて分配しそれぞれのエキスを得た。SDS-PAGEによるMMP阻害活性を指標として、 Sephadex LH-20、Wakogal C-200カラムコロマトグラフィー及びPTLCにて精製を繰り返し活性画分を検索した。以上をChart.1に示す。
実験動物:7週齢Wistar系雄性ラット肺組織ホモジネート
MMP酵素源:肺ホモジネート(50mM Tris-HCI,pH 7.5 9000×g上清画分)をp-aminophenylmercuric acetate(APMA,0.5mM)で処理しMMPを活性化してMMP酵素源とした。
MMP阻害活性の測定(以下の実験は4回繰り返し行いその平均値とした):SDS-PAGEゼラチン分解活性:ゼラチン(1.0mg/ml)を基質として各披験物を添加し、37℃、18hインキュベーション後にSDS-PAGEに附しCBB染色により蛋白質を確認した。
ゼラチンゲルザイモグラフィー:活性化したMMPを非還元下で1.0mg/mlのゼラチン含有ゲルで泳動した後に37℃、18h、NaCl及びCaCl2を含む緩衝液中でインキュベーションしCBBによりゼラチン消化活性を可視化した。定量的画像解析:CBB染色後のゲルはEPSON ES-2200で取り込み、Image Gauge v4.0(Fuji Photo.)により定量的解析を行って比較した。
【結果・考察】
Fig.1 0.5mM APMAにより活性化されたMMP群によるゼラチン分解活性のSDS-PAGEによる測定の結果及びゼラチンゲルザイモグラフィーの結果を示す。活性化されたMMP群はEDTA(10mM)でその作用に阻害されること、さらに1.10-phenanthroline(1mM)でEDTA同様に阻害が認められるが、セリンフロテアーゼ阻害剤のphenylmethyl sulfonyl fluoride(PMSF,1mM)では阻害が認められないこと、及びカゼインザイモグラフィーの結果(data not shown)から本活性はMMPsに由来することを確認した。以下定量的画像解析法により得た結果によりミジンイモムシタケのMMP阻害作用とその活性成分を検討した。
Table 1及びFig.2 ミジンイモムシタケ75%MeOH抽出エキスでは6.4mg/mlでEDTA(10mM)と同等のゼラチン分解阻害活性を認めた。分画したエキスはその収率から同様にゼラチン分解阻害活性を検討したところ、n-BuOH画分の活性が最も強く、その阻害作用は濃度依存的(IC50:420μg/ml)であった。
Fig.3 次にSephadex LH-20カラムクロマトグラフィー(aq-MeOH)によるn-BuOH画分の分画を進めたところ、F2画分(926.1mg)を得た。この画分によるゼラチン分解阻害活性は濃度依存的でありIC50値は0.9μg/mlであった。さらにこの画分の MeOH可溶性画分はWakogel C-200(CHCl3:MeOH=1:4)及び再結晶により精製された化合物TY-262AとTY-262Bが得られた。これらのMMP阻害作用をゼラチンゲルザイモグラフィー法により検討した結果、活性型MMP-2 に対する阻害作用を認めた。しかしTY-262A及びTY-262B以外の阻害物質の存在も推察されたことから、ミジンイモムシタケのMMP阻害作用成分の特定をさらに進める必要がある。今後TY-262A及びTY-262Bの構造決定と他の活性成分の検索あるいはMMP-2阻害作用の機序等の詳細についてさらに検討を行う。
【まとめ】
ミジンイモムシタケCordyceps sp. TY262はマトリックスメタロプロテアーゼ阻害作用を示すことから、癌の浸潤・転移、虚血性脳及び心疾患、炎症、あるいは血管新生が関与する疾患に対して有効であると可能性が示唆された。
※以上はラットを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2006年3月28日〜30日] 『ハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)培養液の抗腫瘍効果(2)』
2006(平18)3月28日〜30日・日本薬学会第126回年会(仙台)
【目的】虫草菌の一種であるハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)は、滋養あるいは免疫調整作用を有する。矢萩らによりハナサナギタケ培養液が、細胞性免疫応答を増強すること、消化管免疫において制がん剤 5-フルオロウラシル(5-FU)で低下した免疫応答を選択的に増強することが報告されている。本研究では、ハナサナギタケ培養液凍結乾燥品(IJCE)の担癌モデルマウスに対する抗腫瘍効果について検討した。
【方法】4週齢のddy系雄性マウスにSarcoma180(S-180)あるいはEhrlich癌細胞、C57/BL6JマウスにEL-4細胞を皮下に 106個を接種し、24時間後から1日1回10日間[IJCE(p.o)、 5-FU(i.p.)、MMC(i.p.)IJCE+5-FU、IJCE+MMC]投与した。18日後に腫瘍重量を測定し、癌細胞のみを投与した対照群と腫瘍重量の平均値を比較した。一酸化窒素(NO)は比色法、TNFαはELISA法により測定した。
【結果および考察】いずれの癌細胞に対しても、IJCE(10、30,50,100 mg/kg)単独投与でほぼ用量依存的な抗腫瘍効果が観察された。S-180抗腫瘍細胞群ではIJCE(30 mg/kg)とMMC(0.5 mg/kg)あるいは5-FU(10 mg/kg)を併用するとMMC、5-FU単独郡よりも抗腫瘍効果の増大が認められた。マウスのマクロファージ細胞(J774.1)にIJCE(1、 10,100 μg/mL)を添加して4時間培養した時、TNFαの産生が用量依存的に観察された。さらに、J744.1細胞とIJCEを24時間培養した時には、NOの産生が用量依存的に観察された。 S-180担癌マウスにIJCE(10mg/kg、i.v.)投与した時、血清、肺、腫瘍、肝臓、脾臓にTNFα の産生が観察された。
以上の事から、IJCE(ハナサナギタケ培養液凍結乾燥品)はマクロファージを活性化することにより抗腫瘍作用あるいは制癌薬5-FUとMMCの抗腫瘍作用を増強することが明らかになった。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2005年3月29日〜31日] 『ハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)培養液の抗腫瘍効果』
2005(平17)3月29日〜31日・日本薬学会第125回年会(東京)
目的:我々はこれまでに、虫草菌の一種であるハナサナギタケ(Isaria japonica Yasuda)培養液が、細胞性免疫を増強することを明らかにしてきた。本研究ではハナサナギタケ培養液凍結乾燥品(IJCE)の担癌モデルマウスに対する抗腫瘍効果について検討したので報告する。
方法:4週齢のddY系雄性マウスを使用した。1)背部皮下にSarcoma180(S-180)癌細胞106個を接種した。癌接種と同時に0.1%あるいは0.2%の濃度でIJCE含有粉末試料を18日間投与した。18日目に粉末試料のみを投与した対照群と腫瘍重量の平均値を比較した。2)腹腔内にS-180癌細胞106個を接種した。24時間後から1日1回5日間検体[IJCE、5-FU、MMC(マイトマイシンC)、IJCE+5FU、IJCE+MMC}を腹腔内に投与した。55日間マウスの死亡の有無を観察し、癌細胞のみを投与した対照群と生存日数の平均値を比較した。一酸化窒素(NO)は比色法、TNFαは ELISA法、NOとTNFαのmRNAはRT-PCR法により測定した。
結果及び考察:S-180固形腫瘍の増殖に対して、0.1%あるいは0.2%IJCE混餌投与により、59および60%の抑制作用を示した。腹水型腫瘍の生存日数に対して、IJCE(10mg/kg)単独投与では対照群に比較して軽微の延長(1.12倍)が観察されたが、IJCE(3mg/kg)と MMC(0.5mg/kg)を併用するとMMC単独郡(1.32倍)よりも、生存日数の延長(1.65%)が認められた。
マウスのマクロファージ細胞(J774.1)にIJCE(1,10,100 μg/ml)を添加して4時間培養した時、TNFαの産生が用量依存的に観察された。さらに、J774.1細胞とIJCEを時間培養した時には、TNFα とN0のmRNAの発現が観察された。S-180担癌マウスにIJCE(10mg/kg,i.v.)投与した時、血清、肺、腫瘍、肝臓、脾臓にTNFαの産生が観察された。
以上の事から、IJCE(ハナサナギタケ培養液)はマクロファージを活性化することにより制癌薬5-FUとMMCの抗腫瘍作用を増強することが明らかとなった。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2004年3月29日〜31日] 『ハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)培養液の抗腫瘍効果』
2004(平16)3月29日〜31日・日本薬学会第124回年会(大阪市)
【目的】我々はこれまでに、虫草菌の一種であるハナサナギタケ(Isaria japonica Yasuda)培養液が、細胞依存型の免疫応答を増強すること、制がん剤 fluorouracil(5-FU)による免疫応答の低下を改善すること、消化管免疫において5-FUで低下したバイエル板細胞数の回復とTh1による免疫応答を選択的に増強することを明らかにしてきた。本研究では、ハナサナギタケ培養液凍結乾燥品(IJCE)の担癌モデルマウスに対する抗腫瘍効果 について検討した。
【方法】4週齢のddY系雄性マウスの腹腔内にSarcoma180癌細胞106個を接種し、24時間後から1日1回5日間検体(IJCE、5-FU、MC、IJCE+5-FU、IJCE+MC)を腹腔内に投与した。55日間マウスの死亡の有無を確認し、癌細胞のみを投与した対照群と生存日数の平均値を比較した。
【結果および考察】IJCE(3mg/kg)単独投与では生存日数の延長は対照群に比較してわずかしか(1.13倍)観察されなかったが、 IJCE(3mg/kg)と5-FU(10mg/kg)を併用すると5-FU単独での生存日数の延長(1.38倍)が大きく(1.87倍)拡大した。 10mg/kgのIJCEと5-FU(10mg/kg)の併用により生存日数はさらに延長した(2.50倍)。MitomycinC(MC)とIJCEの併用においても生存日数の延長が観察された。また、in vitroの実験でIJCEはJ774-I細胞によるTNF-αs産生を増加する作用があることが明らかになった。本研究から、 IJCE(ハナサナギタケ培養液)には他の制癌剤の抗腫瘍作用を増強する効果 があることが明らかになり、その効果には単球系細胞の活性化が関与している可能性が示唆された。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
[2003年3月27日〜29日] 『ハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda)培養液の消化管免疫応答に及ぼす影響』
2003(平15)3月27日〜29日・日本薬学会第123回年会(長崎市)
【目的】 消化管免疫応答は、消化管における局所的な免疫応答のみならず、全身の免疫反応に深く関与していることが明らかとなってきた。先に本研究所では、虫草菌の一種であるハナサナギタケ(Isaria Japonoca Yasuda)の培養液には、T細胞依存型の免疫応答を経口投与により増強させ、制癌剤の5-fluorouracil(5-FU)投与による免疫応答の低下を回復させる効果 があることを明らかにした。
本研究ではハナサナギタケ培養液の凍結乾燥品(IJCF)の消化管免疫応答に及ぼす影響を調べるため、IFCFを経口投与したマウスの小腸からパイエル板を採取し、そのリンパ球ポピュレーションを解析し、サイトカイン産生量 を調べた。
【方法】5-FU(150mg/kg)を投与したC57BL/6マウスにIJCFを経口投与し、常法にしたがってパイエル板リンパ球を分離して、細胞をT(CD3)、B(CD19)及びT細胞サブセット(CD4及びCD8) のFITC標識抗体で染色した。ついで、これらの陽性細胞のポピュレーションをフローサイトメーターで解析した。さらに、バイエル板リンパ球を24ウエルプレートで培養し、細胞をIJCFの存在下にCon-A(5μ g/ml)刺激し、経時的に培養液を採取して培養液上清中のIL-2、IL-4、IL-6及びIFN-γの産生量 をELISA法で検出した。
【結果・考察】50mg/kg/day(6日間)の用量 のIJCFは、5-FUによるバイエル板細胞数の減少を抑制し、T細胞サブセットのCD4+細胞の割合を増加させた 。また、IJCFはパイエル板細胞のIL-2とIFN-γの産生を増加させた。なお、IJCFはIL-4の産生には影響を及ぼさなかった。したがって、IJCF(ハナサナギタケ培養液)には5-FUよって低下したTリンパ球サブセットのうちCD4+細胞を回復させ、またTh1による免疫応答を選択的に増強させる作用があることが明らかとなった。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
★1999(平11)年12月・薬学論文(日本生薬学雑誌)
『ハナサナギタケIsaria japonica Yasuda人工培養菌(菌株CY11)とツリガネタケFomes fomentarius(L.:Fr)Kicrxを合剤とした凍結乾燥エキスの活性酸素消去作用(抗酸化作用)』を発表、日本生薬学会雑誌 「Natural Medicines」掲載
Natural Medicines 53(6),319-323
★1996(平8)
『The Culture Fluid of Isaria japonica Yasuda Augments Anti-Sheep Red Blood Cell Antibody Response in Mice』:冬虫夏草の培養液凍結乾燥粉末はマウスに経口投与する事により、T細胞依存型の抗体産生を増強する作用があることを明らかにした。
★1995(平7)10月・日本薬学会東北支部大会(山形大学医学部)
『ハナサナギダケの免疫効果 とガン末期に使用した臨床例』を発表。
★1995(平7)年10月・薬学論文
『冬虫夏草培養液の免疫増強作用について』を発表。日本薬学会雑誌「BIOLOGICAL & PHARMACEUTICAL BULLETIN」に掲載。
[1995年6月] 『日本冬虫夏草の人工栽培および動物実験による薬理解明と癌闘病者に対する臨床調査』
1995(平7)6月・日本東洋医学会学術総会(金沢市)
伊丹仁朗(岡山・柴田病院)広瀬薫(千葉・香澄診療所)他
1994年10月〜1995年2月にかけて臨床調査を行った。ハナサナギタケを主体とした日本冬虫夏草培養液抽出物数種類を1ヶ月以上服用した全国のガン患者約300名のうち、症状が改善、あるいは改善された可能性のある98名に調査を依頼した。協力に応じたのは22名。その22名中、X線やCT 撮影などで患部の縮小などの客観的なデータを提供してくれたのが7名。その7名はいずれも転移が進んだ末期ガンであった。
以下臨床調査データを報告する。
(資料提供:(株)エフェクト)
調査に応じた22名について(X線、CT等客観的データ提供者7名を含む)
○22名中、ガンの進行状況
・ステージⅡ...2名
・ステージⅢ...3名
・ステージⅣ(末期ガン)...17名
○22名中、ハナサナギタケ抽出液の治療症例
・改善した...6名
・著明に改善した...10名
・悪化した...6名
○ハナサナギタケ抽出液使用以前の治療について
・主な治療をしていなかった...6名
・化学療法(抗ガン剤)を行っていた...10名
・放射線治療を行っていた...2名
・化学療法と放射線治療を併用した...4名
○この22名は化学療法、放射線治療を打ち切りハナサナギタケ抽出液の治療に専念することになった。その後の生活について調査を行った。
・家事、軽作業(勤務者も含む)可能...12名
・身の回りができる...1名
・日常看護を要する...3名
・日常寝ている...2名
・死亡...4名
また、X線、CT等客観的データ提供者である7名の末期ガンの症例を報告する。
(症例1)卵巣ガン(Malignant teratoma)O.K 21歳・女性
93年9月右附属器摘出手術、すでに腹膜、膀胱転移を指摘された。化学療法は無効との診断で、在宅治療中。同9月中旬より本培養液服用を開始、現在も継続中。現在は全身状態良好で、家事・軽作業ができ、画像診断上癌腫増大や転移所見なし。
(症例2)腎臓ガン(Renal cell Carcinoma、下大静脈にも癌腫塞栓)I.S 47歳・男性
93年1月右腎摘出、下大静脈の癌腫は残存。術後α-IFN600万U14回注射。同2月より本培養液服用を始め、現在も継続。下大静脈の癌腫塞栓が縮小し、95年2月のCTではほぼ消失。全身状態良好で普通の生活。
(症例3)非ホジキン型悪性リンパ腫(Diffuse Large cell type)A.Y 36歳・男性
93年7月頸部リンパ腺腫で発症、両肺内にも病巣を認め専門医に、予後不良で余命数ヶ月といわれる。放射線治療・化学療法を受けるも、全身状態不良となる。94年6月より本培養液単独服用開始。同9月頃には全身状態改善、両肺の病巣もCT上消失。同11月職場復帰。
(症例4)喉頭ガン、両肺転移(Squamous cell carclnoma)M.M 50歳・男性
93年3月、頸部リンパ腺腫大にて発症、放射線療法後同7月に喉頭ガン並びリンパ腺摘出手術、化学療法、94年11月両肺計2カ所の転移、同時点より本培養液単独服用療法を開始。全身状態の改善と共に両肺転移巣縮小(6ヶ月間で右直径2.3→1.0cmへ、左 1.5→0.8cmへ)を認めている。
(症例5)胃ガン、ガン性腹膜炎(Signet ring cell carcinoma)A.M 31歳・男性
94年8月腹水で発症、試験開腹にて腸間膜、後腹膜に転移、多量のガン性腹水を認めた。以後在宅生活で、UFT、MMCと並行して本培養液を同9月より現在まで服用中。全身状態良好で、通常の日常生活をしている。
(症例6)スキルス胃ガン、ガン性腹膜炎 K.S 65歳・女性
93年8月腹痛にて発症、手術不能で短期間化学療法剤の点滴。IVHと並行して、本培養液を同12月より投与。在宅での小康状態が続いたが、94年11月再入院、94年12月永眠。主治医は延命効果を認めている。
(症例7)胃ガン、肝転移(Undifferenclated adeno carcinoma)I.Y 41歳・男性(95年4月以降も継続調査)
94年11月胃部不快で発症。同12月生検で未分化ガン(ガン細胞)を確認、手術不能と診断。95年1月より化学療法剤の点滴、経口投与を行うが、すぐに打ち切りに。同時点より本培養液を現在まで服用中。95年2月までは変化が見られなかったが、4月のUGI 検査で潰瘍性隆起性病変の縮小傾向が見られ、その後、2ヶ所から細胞を取り生検するがガン細胞が見つからず、悪性所見なしと見なされた。CT上多発性肝内転移の最大径の部分も3cm→1.8cmと縮小。その後CT画像にて腫瘍消失を確認している。仕事、生活とも発病前と同じ普通通りの生活を過ごしている。(※I.Yさんからお借りした資料等をご覧になりたい方はお問い合せください)
以上の臨床結果は1995年6月の日本東洋医学会にて伊丹仁朗医師が発表した。
また同年9月15日、アメリカ、ワシントン市のNIH(国立衛生研究所)内に3年前に発足したAOM(代替療法調査部)に公式訪問し、矢萩禮美子が発表した。
AOMはNCI(国立ガン研究所)と協力し、世界中からガンの代替療法を探し、臨床実験を始めている段階だった。
日本東洋医学会での発表後、NIHに公式訪問し研究発表をする本人
(左)NIH日本担当部長ロバート・ケネラー博士
(中央)国立ガン研究所主任マリィ・マッキャーベ博士
[1983年] 『サナギタケ、コナサナギタケの培養とその抗腫瘍成分について』
1983(昭58)年・日本薬学会東北支部大会(岩手大学医学部)
わが国に生える冬虫夏草(Cordyceps)のうち、サナギタケ(Cordyceps militaria Link.)、コナサナギタケ(Cordyceps sp)isaria typeについて成分の検索を行った。サナギタケについては比較的採集可能な天然採集のサナギタケ菌と人工培養菌を、コナサナギタケについては希有の種であるため人工培養菌を成分検索の対象とした。
サナギタケ、コナサナギタケは蛾の幼虫に寄生するバッカクキン科(Clavicipitales)に属するが、古来、中国の漢方で伝承されてきた冬虫夏草(Cordyceps sinensis Sacc,)と種を異にし、今まで抗腫瘍成分の検索はなされていなかった。これまで人工培養菌のエタノール抽出の粗結晶を得、これを抗腫瘍性、検討の資料としてきたが、自然界では成分構造決定のための資料が希少なため、人工培養菌の増殖に期待するより他に方法がなかった。
人工培養には固型培地と液体培地を使用したが、より純粋に夾雑物のない菌体を得るため、液体培養法を採用し菌座形成を促進させるため60日間の静地培養を行い菌体の増殖を計った。エタノール抽出エキス検索の結果、steroid骨格を有する Ergosterol peroxideとTriglycerideを得、glycerideが抗腫瘍性に関係しないことからErgosterol peroxideが抗腫瘍活性の本態であると推察する。
1983年、東北大学の近藤嘉和先生が、日本冬虫夏草のうち、サナギタケとコナサナギタケに、抗腫瘍性のあるエルゴステロールパーオキサイドが含有されていることを(世界で)初めて発見した。その後1997年、同大学院生小坂良氏により、ハナサナギタケにもエルゴステロールパーオキサイドが含有されていることがつきとめられた。
『ハチタケの抗腫瘍性』
(1977(昭52)サイエンス日本版)
人工培養に成功したハチタケを使って、その抗腫瘍性を調べた。
抗腫瘍性を調べる際、ハチタケの成分を試料としてエタノール抽出する必要がある。そのためにエタノールと水を1対2の割合にした液にハチタケを加え、その成分を抽出した。そして10000rpm、15min遠心分離を行い、上澄を濃縮、凍結乾燥して、エタノールフラクション(Eフラクション)とした。
抗腫瘍性実験は1群12匹のマウスで行った。マウスの右後肢大腿部筋肉内にエールリッヒ腹水癌細胞を100万個移植した、Eフラクションは癌細胞を移植して24時間後から、1日1回ずつ5回腹腔内に投与した。癌細胞を移植して10日後にマウスの腫瘍重量を求め、同時に実施した対照の生理食塩液投与群の平均腫瘍重量とを比較して抑制率を算出した。その結果は下の表に示す。
以上の実験によって、ハチタケのEフラクションは(50mg/kg)×5において78% の腫瘍抑制率を示し、かなり強い抗腫瘍性が認められた。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。
★1977(昭52)年・日本医学会東北支部大会(秋田大学医学部)
東北薬科大学ガン研究所・佐々木健一教授、石川正明先生らと矢萩(本書の共同執筆 者)の共同研究である『ハチタケの人工培養とその抗腫瘍性について』を発表。
★1977(昭52)年・日本医学会東北支部大会(秋田大学医学部)
東北薬科大学ガン研究所・佐々木健一教授、石川正明先生らと矢萩(本書の共同執筆 者)の共同研究である『ハチタケの人工培養とその抗腫瘍性について』を発表。
『山形県真室川町で採集された冬虫夏草』
緒言
山形県真室川町にある広葉樹林地帯の沢、谷、川などの周辺に生育する冬虫夏草の分布は部分的に調べられたことはあったが、地域を定め1シーズンを通 して観察されたことはない。筆者は1978年6月から12月にかけて、真室川町釜淵を中心とした約30km周囲内で、同じ場所を数回たずね冬虫夏草の採集を行うとともに、特に発生良好地の環境条件について若干の調査を行った。
1.調査地の概況(図1)
調査地は山形県の北端にあたり、西に鳥海山(標高2,230m)系、東に奥羽山脈、南には月山(標高1,980m)と葉山連峰、北には山形県と秋田県にまたがる標高1,000m前後の山々にとり囲まれている。農林水産省林業試験場東北支場釜淵試験地(以下釜淵試験地という)における1978年の記録によれば、8月には最高気温36℃の日があった。25℃以上の日は81日、30℃以上になった日は31日あり、1日のうち最高気温になるのは午後1時から3時までの間で、持続時間は2−3時間であった。
この年の6月は前年に比べ降雨日数が6日も多く、冬虫夏草の大発生をみたが、7月は6日間少なく、しかも7月13日から8月2日までの22日間連続して晴天が続き、6月中旬に一せいに発生をみたポピュラーな種類もこの晴天続きの間にほとんど消滅してしまい、水分が多い所でわずかに発見されるのみとなった。
釜淵の平均積雪量は172cm、年平均降水量 は2,500mm、年平均湿度は75−78%、最低湿度月は5月、最高湿度月は7月および8月である。冬虫夏草は標高180−350mぐらいまでのところにある沢、谷、川などの周辺によく生息していた。当地方における採集シーズンのもっとも良い時期は6−9月である。

2.発生良好沢の環境(表1)
釜淵試験地には理水試験を行っている?号沢と、?号沢がある。この2つの沢は鶴下田沢の枝沢にあたり、地形がよく似た隣接している小沢で、ともに年中渇水することはないが、冬虫夏草の発生状況について1977、1978の2年間比較してみたところ、樹木が繁茂している?号沢から2年間で101個体発見されたが、上流部2/3が皆伐されている?号沢では1個体も採集されなかった。
?号沢は50−70年生の広葉樹が生育していて、風の流通 は本沢との接点部と、沢をとり囲む山の上部を通過するのみで、風向きの頻度が多いのは南、南西、東などである。植生は、トチ、エゾアジサイ、クリ、ホウノキ、ケヤキ、イタヤカエデ、ヤマザクラ、オニグルミ、サワグルミ、マンサク、ミズキ、ハンノキ、クワ、ブナ、ナラ、スギ、アオキ、クロモジ、リョウメンシダ、ヤブコウジ、イワカガミ、ミヤマイラクサ、ワラビ、アカザ、ギボウシ、ミズナ、フキ、チガヤ、ゼンマイ、苔類などであった。 沢の水は岸の1−1.5m下を流れ、沢面にはほとんど陽光があたらない。
?号沢における6月から11月までの6ヶ月間の降水量 は1,800−2,500mmで、流出率は平均約63%である。 冬虫夏草の発生適温は気温18−25℃で、その時の?号沢における最高相対湿度は90%以上、水蒸気圧は28.25mb以上を示した。 サナギタケ、カメムシタケ、アワフキムシタケ、ハリタケ類などの地中、腐葉、朽木に埋没した寄主に発生するものは岸辺の草地中にあり、オサムシタケ、オオゼミタケは岸の断面 の柔らかな土中に埋没した寄主に発生していた。
冬虫夏草が寄生した虫体が埋没している土壌、腐葉、朽木などは、寄主虫体内の菌糸体に対する湿度や温度を一定に保持する役割りを果 していると思われる。虫体内部で菌核状をなしたものは、外部から水分をある程度吸収しない性質をもつと考えられるから、埋没個所がたとえ過湿状態になっても、菌の呼吸が良好であるときは、虫体内の菌糸体は過湿になりにくいものと考えられる。反対に埋没個所が乾燥している場合、菌核状のものでは菌糸体の水分が急速に失われるものと思われる。
寄主埋没地の土壌などの含水量は、虫体内で菌糸が蔓延し、菌核状態を形成するまでの間、重要な要素であるが、子座形成時、特に地上に子座を抽出して以後は空中湿度が重要な要素となってくるものと思われる。したがって、寄主が埋没している土壌、腐葉、朽木などから寄主虫体内の菌糸体に十分な水分を供給でき、しかも菌の呼吸が阻害されない程度の土壌空間があり、子座形成時に空中湿度が十分高い場所が冬虫夏草の発生に適した環境であると考えられる。
表1.冬虫夏草発生良好沢の概要
| 位置(鶴下田沢支流1号沢) | 北緯38゜56´、東経140゜15´ |
|---|---|
| 沢の長さ、巾 | 290m、1-1.5m |
| 平均勾配(Sg) | 35゜30´ |
| 海抜 | 最低部 160m、最高部 245m |
| 土壌構成 | 広葉腐葉土の下、最上部は灰色凝灰質頁岩 |
| 湿度 | 平均 80.9%、最低 73.1% |
| 平均年流出率 | 76.79% |
| 年平均降水量 | 2,500mm |
| 植生状態 | 広葉樹 50-70年、その他 |
| 陽光 | 沢面にはほとんどあたらない |
| 採集量 | 1978年全量数77個体 |
3.冬虫夏草の発生時期(図2)
この地方の6月はようやく春の終わりを感じられる暖かさであり、1978年の5月、6月中で温度が25℃以上になった日は5月は7日間、6月は16日間であった。他の月に発見されないもので6月に発生したものでは、オオゼミタケがあった。サナギタケは6月に発生したものは子座組織が柔らかく小型(2−4cm)のものばかりで、降雨後に大発生をみた。 寄主が枝葉上に付着しているCordyceps属は5種類で、その発生の時期はハスノミクモタケ、クモノエツキツブタケ、ハエヤドリタケ、スズメガタケが 7−9月、カイガラムシに寄生するものは7−11月であった。
カイガラムシに寄生するものでは、Cordyceps型と、Torrubiella型の2種類があり、これらのうち被子器が子座に形成される Cordyceps型のものは7月、8月は少なく、9月、10月に完全型が多く発見された。被子器が直接カイガラムシ体表菌じょく上に形成される Torrubiella型は7月、8月に成熟し、9月には消滅した。 Podonectria属では、ヨコバエタケとウスキコバエタケが8月に葉上から発見された。被子器が成熟しているもので、種類と発生個体数がもっとも多かったのは7−8月であった。
湿度の面から以上をまとめると、寄主が土、腐葉、朽木、などに埋没しているものでは7−8月中旬にかけての降雨量 だけでなく、降雨頻度が発生に著しい影響を与えるといえよう。 また、枝葉上に付着した寄主に発生するものは、土壌が乾燥していても植物に充分な水分があれば発見された。

4.採集された冬虫夏草の種類(表2)
1978年の調査期間に採集された完全型は364個体、不完全型は151個体であった。これを分類すると、完全型のうちCordyceps型属に同定されるものは24種、採集個体数254でもっとも多く、次がTorrubiella属で10種105個体であった。 Torrubiella属は主にクモに寄生するGibellula属(ギベルラタケ)が66個体で最も多く、そのほかHirusutella属(カイガラムシタケ)18個体、Polycephalomyces属(マユダマタケ)3個体、Hymenostilbe属(スズメガタケ)1個体、および Isariaに属するハナサナギタケ44個体と、ハエヤドリタケ17個体が発見された。

まとめ
冬虫夏草は寄主となる虫が多く生息し、しかも菌類の生育に必要な条件が充分に満たされている所に発生するが、寄主が埋没生の場合、その生育に適した沢は水量 、沢巾、気象、植生、照度などにおいて相互に類似している点が多く認められた。例えば、沢地の照度は主として川巾、樹木の種類と樹齢などによって左右される。川巾がせまく、樹木が良く繁茂している場所は照度が弱く、そして湿度が高く、土壌の上面 には腐葉が厚く堆積し、また苔などもよく発達する。このような所では虫の生息も多く、したがって冬虫夏草も豊富であった。 また、わが国のように四季の移りかわりが明瞭なところは、季節的気象条件の推移に伴い、発生種も交代する現象がみられる。枝葉上に付着する冬虫夏草を扱う場合は、寄主となる虫の種類ばかりでなく植物の状態も調査しておく必要がある。
最後に、指導を賜った米沢市の清水大典氏および釜淵試験地の小野茂夫主任と職員の皆様に深謝致します。
摘要
真室川町釜淵を中心とした約30km周囲内における冬虫夏草の発生良好地の環境条件について若干の調査を行うとともに、一定の場所を定めて、1978年 6月から12月にかけて調査を試みた。採集した完全型は364個体、不完全型は151個体であった。完全型のうちCordyceps属に分類されるものは 24種、254個体、Torrubiella属は10種105個体、Podonectria属は2種5個体であった。
★1978(昭53)日本薬学会(岡山大学医学部)
『冬虫夏草の人工培養と抗腫瘍性について』を発表。
『ハナサナギタケとツクツクボウシタケのパイエル板構成細胞にたいする選択的なサイトカイン産生の増強効果』
2005年(平17) International Immunopharmacology、第5巻、903〜916ページ
【目的】消化管免疫応答は、消化管における局所的な免疫応答のみならず、全身の免疫反応に深く関与していることが明らかとなってきた。先に本研究室では、虫草菌の一種であるハナサナギタケ(Isaria Japonica Yasuda )の培養液には、T細胞依存型の免疫応答を経口投与により増強させ、制癌剤の5-fluorouracil(5-FU)投与による免疫応答の低下を回復させる効果があることを明らかにした。本研究ではハナサナギタケ培養液の凍結乾燥品(IJCF)の消化管免疫応答に及ぼす影響を調べるため、IJCFを経口投与したマウスの小腸からパイエル板を採取し、そのリンパ球ポピュレーションを解析し、サイトカイン産生量を調べた。
【方法】5-FU(150mg/kg)を投与したC57BL/6マウスにILCFを経口投与し、常法にしたがってパイエル板リンパ球を分離して、細胞をT(CD3)、B(CD19)およびT細胞サブセット(CD4及びCD8)のFITC標識抗体で染色した。さらに、パイエル板リンパ球を24ウエルプレートで培養し、細胞をIJCFの存在下にCon-A(5μg/ml)刺激し、経時的に培養液を採取して培養液上清中のIL-2、iL-4、IL-6及びIFN-γの産生量をELISA法で検出した。
【結果・考察】50mg/kg/day(6日間)の用量はIJCFは、5-FUによるパイエル板細胞数の減少を抑制し、T細胞サブセットのCD4細胞の割合を増加させた。また、IJCFはパイエル板細胞のIL-2とIFN-γの産生を増加させた。なお、IJCFはIL-4の産生には影響を及ぼさなかった、したがって、IJCF(ハナサナギタケ培養液凍結乾燥品) には5-FUによって低下したTリンパ球サブセットのうちCD4細胞を回復させ、またTh1による免疫応答を選択的に増強させる作用があることが明らかとなった。
【薬学会で発表したことと本研究成果の相違点と新知見について】
1)実験動物の違い(決定的な違い)
薬学会→制癌剤5-fluorouracil(5-FU)を投与した(免疫応答を実験的に弱めた)マウスからパイエル板を用いて実験した。
本研究→制癌剤を投与しない正常なマウスから得たパイエル板を用いて実験した。
2)試料
薬学会→ハナサナギタケのみ
本研究→ハナサナギタケとツクツクボウシタケの2種類
3)測定したサイトカイン
薬学会→IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-6
本研究→IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-6、IL-5、IL-10、GM-CSF
※補足:薬学会の研究成果は、制癌剤を投与したマウスのパイエル板での実験であるため、本研究成果をこの結果と一概に比較することはできない。
4)in vitro(パイエル板構成細胞に直接添加する実験)とex vivo(マウスに飲ませてからパイエル板を取り出して実験する)
薬学会→サイトカイン産生量についてはin vitroの結果のみ
本研究→サイトカイン産生量はin vitroとex vivoの両者の研究成果がある(ex vivoの効果が認められたことは薬理学的に重要な意味を示す)。
【本研究の概略】
−概要−
ノムシタケ属(Cordyceps)の菌類は、バッカクキン科(Clavicipitaceae)に属し、野外でその大部分が生きた昆虫に寄生して宿主の虫体成分を栄養源として子嚢果を形成する有性世代の昆虫寄生菌である。この菌の特徴として寄生する宿主の昆虫に特異的な子実体(キノコの傘と同じもの)を形成することにある。本属菌の代表例としては「冬虫夏草(Cordyceps sinesis)」があり、このものは成熟した有性世代の子実体を形成する。反対にこの菌の仲間には、完全な子実体を形成できない無性世代の種もあり、これを分生子型といい、ハナサナギタケやツクツクボウシタケがこの範疇に分類される。
先にハナサナギタケを長期間(2年間)培養した際に発生する二次代謝液(凍結乾燥粉末試料)には、これをマウスに経口投与することにより、T細胞(helper T細胞)が主導権を握ってして起こる液性免疫応答(PFC産生)を増加させ得ることを公表した。そこでハナサナギタケについて、消化管免疫応答に影響することが明らかとなってきており、経口ワクチンの開発や食物アレルギーを抑制するのに消化管免疫が重要な役割を示す。
本実験ではハナサナギタケとツクツクボウシタケ(何れも山形県内で採取し培養したもの)の培養二次代謝液の凍結乾燥粉末体を試料として用いた。
−実験−
実験:C57BL/6Lマウスの小腸からパイエル板を摘出し、コラゲナーゼで結合組織を分解してからパイエル板構成リンパ球を採取した。次いでパイエル板細胞を2×106個/mlに調製して培地(RPMI1640培地に5g牛胎児血清入り)懸濁し、24穴プラスチックプレートに蒔いた。これに10〜100μg/mlの濃度になるように調製したハナサナギタケあるいはツクツクボウシタケ培養二次代謝液を添加し、さらに5μg/mlの濃度のT細胞活性化タンパクであるコンカナバリンAを添加あるいは添加しないで96時間培養した。
培養終了後に、培養液上清を回収し、この培養液中にマウスパイエル板構成細胞が産生した生体内免疫調整物質であるサイトカイン量をELISA法で測定した。測定したサイトカインはIL(インターロイキン)-2、IL-4、IL-5、IL- 6、IL-10、GM-CSF及びIFN-γで、IL-2、IFN-γ(インターフェロンガンマ)のサイトカイン産生量が増加すると抗体による免疫反応が誘導される。パイエル板構成細胞が産生するIL-10とGM-CSFはIL-10が免疫抑制反応を誘発し、GM-CSFは造血機能を上昇する働きがある。
−結果と考察と新規性と強調点−
ハナサナギタケあるいはツクツクボウシタケ培養の凍結乾燥粉末体は正常なマウスから得たパイエル板構成細胞に対してIL-2とIFN-γの産生を増加させ、IL-4とIL-5の産生については、IL-5についてハナサナギタケは試験管内の実験において増加させたが、これをマウスに経口投与した場合では影響を与えなかった(IL-5については新知見)。なお、IL-4産生にはまったく影響を及ぼさなかった。興味深いことに、ハナサナギタケとツクツクボウシタケの培養液はIL-6,IL-10及びGM-CSFの産生も増加させる効果があることが新たに判明した。ハナサナギタケとツクツクボウシタケによる、 IL-2、IL-6、GM-CSF産生増強効果はT細胞の刺激因子であるコンカナバリンを添加しなくとも、ハナサナギタケあるいはツクツクボウシタケ単独でも効果が認められた。
また、ハナサナギタケをマウスに飲ませた場合、パイエル板構成細胞が産生するIL- 2、IFN-γ、及びIL-4とIL-5に対する作用については、T細胞刺激因子の存在下に上記と同じ効果が得られた。天然物の効果を研究する場合では、試験管内(細胞に直接、試料を振りかけて効果を調べた場合)の実験結果と動物に飲ませて得られた結果は一致しない場合のことが多い。しかるに本結果は、経口摂取によっても十分な免疫調節効果が期待できる(新事実)。
ハナサナギタケ及びツクツクボウシタケ培養二次代謝液は、IL-2と IFN-γの産生を増強するが、IL-4とIL-5の産生には影響を及ぼさないことから、Th2体液性細胞の免疫応答ではなく、Th1のT細胞依存性の免疫応答を選択的(強調すべき新知見)にあげる効果が期待できる。腫瘍免疫ではT細胞依存性の免疫応答が活性化することにより、腫瘍細胞を効率的に排除できる実験結果や臨床報告例(例えばIL-2やLAK療法など)があることから、ハナサナギタケとツクツクボウシタケの二次代謝液にはこのような効果が期待できると共に、IL-2とIFN-γの産生増強作用を介した抗アレルギー効果も期待できる。
さらに、ハナサナギタケはパイエル板構成細胞のT細胞とB細胞の構成比率、及びT細胞の中でもヘルパーT細胞とキラーT細胞の構成比率にはまったく影響しなかったことから、ハナサナギタケはT細胞を質的に変化させて活性化(サイトカイン産生を上げる)するユニークな薬理学的活性の特徴を持つ。
このような薬理効果を持つ天然物には漢方方剤で保険適用医薬品である十全大補湯についてマウスパイエル板を用いた研究成果があり、IL-2(抑制)、IFN-γ(増強)、IL-4(効果なし)、IL-5(増強)に対する効果は知られているが、ハナサナギタケのようにIL-2とIFN-γの産生を選択的に上げる効果や、GM-CSFやIL-6、ならびにIL-10産生及ぼす影響については知られていない。さらに、中国の「冬虫夏草(Cordyceps sinensis)」についてもパイエル板構成細胞をもちいた研究成果があり、GM-CSFとIL-6については、これらの産生を増強する効果が公表されたが、ハナサナギタケのように、IL-2,IFN-γおよびIL-4、 IL-5に対する効果は調べられていない。故に当該研究からハナサナギタケは新たな薬理活性をもつT細胞選択的な免疫調節物質として位置づけることができる。
※以上はマウスを使った実験結果であり、人に対しても全く同じということではありません。より人に近い哺乳類の仲間を使って生理活性を見ています。

