無農薬無肥料キヨニシキ玄米の生産者  
※おいしいコメの本(NHK出版)より

肥料ではなく愛情をかけた土の芸術品を作る
岩手県前沢町/佐藤安正

水と空気とワラだけのコメづくり
 食べる物が沢山あって、食べられる物の少ない昨今、農産物も例外ではなく、このまま進めば、近い将来、食糧危機が訪れることは必至であり、量より質への一大転換が図られるべきであります。

 このような状況下で、安全な農産物の生産をと考え、当初は農薬だけが危険であると思い、無農薬で生産していたところ、自然農法の勉強会で、肥料も環境を汚染する物質であり、地球環境保全の立場からも好ましくないということを教わり、これからの農業は、自然農法以外にないと確信し、実線を始めました。

 自然農法農産物は、無から有を生ずる“土の芸術品”であると言っても過言ではなく、作物を作る前に、まず土づくりを心がけなければなりません。本来、土も生きものであり、生かすところに農業の楽しみがありますが、現代の農業は、土を死に至らしめております。

 この結果、生命の維持を図らねばならない農産物が、逆に、生命を驚かすものは採用してはならないという大原則のもとに、我々の生産活動は営まれるべきなのに、生産条件優位の価値体系のもとで営まれているのが現状です。

 自然農法とは、生存条件優位の価値体系のもとで営まれている農業であり、食糧を与えてくれる大自然に感謝の心をもち、汚したことに反省の心をもつことが肝要であると気づかされました。

 自然界に存在する資材を、最大限有効に活用し、人工的な物を一切使用しない自然農法は、大自然との調和の中で営まれる永続可能農業であり、何かを入れて(かけて)収穫するのではなく、土の本質は肥料の塊といわれるように、土の威力を発揮させる農業であります。

 特栽米「瑞穂」は、肥料、農薬(航空防除も含む)はもちろんのこと、堆肥、有機資材等人工的な有機物も一切かけず、稲ワラのみを土に混入し、かけるものは愛情と誠、と心がけ生産しています。水と空気とワラのみで育てておりますので、安全性に関しては、これ以上の安全はなく、味についても、そのものがもっている本来の素質を余すところなく引き出してくれ、食する我々に自然の豊かさを語りかけてくれます。

 おいしいコメは、美しい大自然との共生の中からしかできえないものであり、事実、収穫を待つ自然農法の稲穂は、正しく美しいの一言に尽きます。

 悩みのタネは、求めに応じきれないところですが、年々需要は増すばかりであり、一日も早く協力者が現れることを夢に見、このような価値あるコメを、消費者の皆様にお届けできる幸せを思うとき、農業の明日を確かなものと感じとらせていただいております、(佐藤安正)

 

※おいしいコメの本2(NHK出版)より

消費者からの声で確信した進むべき道
 医学の進歩により、病気根絶に向けてかなりの成果が上がっていますが、それでも病人の数は減るどころか、増え続けるばかりです。

 病人を治す事は大切ですが、その前に病人をつくらないことが肝要であると思い立ち、命のもとをつくる食糧を生産する者として、消費者の皆様のお手伝いはできないかものかと考えたのです。

 安全な農産物づくりの一環として、まず農薬を使わない栽培を始めました。しかし、農薬は、肥料を用いるために使われなければならない物であるということに気づき、肥料は一切使わない無農薬栽培に取り組むことにしました。

 現在の生活環境のなかで、われわれの危険予知能力は間違いなく低下の一途をたどっており、何が危険で、何が安全な物なのか、見ただけでは判別しにくくなってきています。

 植物も人間も、本来自分に必要な物は自らつくり出す能力を持ってこの世に存在を許されているものなのです。つくるべき物をほかより供給(肥料、栄養分など)されると、本来持っている自然の力は作用しなくなり、供給に頼らざるを得ない体質となり、環境に順応できにくくなり、生命力の弱いものとなってしまいます。

 この自らつくり出す力を活用した農法を「自給型農法」と呼び、その場に存在した物のみを利用し、外部より一切のものを持ち込まないで行う栽培法を指します。

 一方、何か(栄養分となる物、肥料、堆肥、農薬など)をかけなければ収穫できないという考えのもとで行う農法を「供給型農法」と呼んでおります。

 この自給型農法を続けているおかげで、今まで、肥料と農薬の陰に隠れて見えなかった部分が理解できるようになってきました。

 特別栽培米に取り組んで6年になりますが、その間、消費者の皆様からは、沢山の情報をいただきました。

 化学物質アレルギーの方からは、安全な食べ物は、甘く、体が温まるが、肥料・農薬を使用した物は、寒気がし、クシャミが出、目の周りや背中がかゆくなったり、さらにお腹が痛くなることもあること、安全な栽培方法でつくっても、品種によってはアレルギー反応の強く出るものもあることなどを教わりました。いくらおいしくてもつくってはいけないものと、必ずつくらなければならないものがあるということに気づかされたのです。

 コメづくりは輸入自由化に向けて厳しさをますばかりですが、消費者の言葉によって、進むべき道がますますはっきりしてきたと確信しております。(佐藤安正)

【生産開始時期】 平成2年
【生産者数】 個人
【栽培方法】 無農薬無肥料栽培
【栽培面積】 1.5ha
【10a当たり収量】 420kg
【土づくり】 田植え後に攪拌機で10日ごとに土を3回攪拌して、土の活性化につとめる。排水を良好にして乾燥につとめ、乾燥風化による土の単粒化をはかる。
【施肥】 養分供給の目的で使用するもの(化学肥料、有機肥料、有機質肥料、堆きゅう肥など)は稲を弱体化させ、農薬が必要になるので一切使用しない。
【病害虫防除】 農薬は使用せず、疎植や草刈りによって病害虫の発生しない環境をつくる。
【除草】手取り除草を1回
【その他】 種子消毒は行わず、選腫は塩害を避け、泥水選にて行う。低温機械乾燥を行い、農協の準低温倉庫に玄米で貯蔵。
【コメの味・特徴】 炊きあがったときの香りが食欲をそそり、さっぱりとした味で何杯食べても飽きがこない。消費者には玄米を勧めている。「袋をあけたときに、普通のコメにはない玄米のよい香りがする」「昔のコメの味がする」「病気の予後にとてもいい」などの声が寄せられている。
【交流 】田植えや土の攪拌、草取りなど、栽培の節目ごとに都合のよい消費者が来て手伝いをしてくれる。
【その他の産物】 無農薬無肥料栽培の小麦による小麦粉とネットメロンがある。
【今後の展開】 全面積を無農薬無肥料の自給型農法に切り替えたい。

●問い合わせ先:人と自然を守る植物農法
〒029-4202 岩手県奥州市前沢区白山水ノ口22
佐藤安正(さとうやすまさ)
TEL0197-56-5345