双翅目

ハエヤドリタケ

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ハエヤドリタケ
Cordyceps dipterigena Berk. et Br.

発生地:山形県・高坂
採集年月日:Aug.7,1975

双翅目Dipteraのイエバエ科Muscidae、アブ科Tabanidae、 ムシヒキアブ科Asilidaeの成虫の頸部に2個(まれに3〜4個)が対となり、ハスの実型の子実体を形成する。不思議なことに、尾 部にはイザリア型の細長い6〜10mmのシンネマ(分生子柄束)を発生させる種特異性がある。

自然界のなせる巧みの技というべきか、人間と生活を共にする家蠅にも感染し、これを殺傷して幾何学模様の子実体(キノコ)を形成、世代を繰り返す菌類が 存在する。

ハエに寄生する虫草には1979年、山形の神室山にて発見された、渡部正一氏の山刀伐峠での大発見で正式に新種として認定されたフトクビハエヤドリタケC.Discoideocapitata K.es S.があり、古くは1971年にサキシマヤドリバエタケC.Sakishimensis K.et S.が西表島より採集されている。他にミチノクハエヤドリタケCordyceps sp.など4種類、合わせて8種類のハエ、アブに寄生する気性型の虫草が発見されている。

本種のハエヤドリタケC.Dipterigena Berk.et Br.は1871年にジャワで発見され、Berkeleyによりハエ寄生の虫草としてヨーロッパに紹介された。

頸部より双生する子実体はハスの実状の円盤型または球形の頭部と、これを支える高さ7〜10mmの硬い革質の柄によりなる。頭部の胞子果 業は径1.2〜2mm、表面に埋生型の胞子果先端が粒点状に突出する。柄は薄い橙黄褐色、頭部は淡黄灰色。子のう胞子Ascosporeは細長い糸状で径 5μ 。胞子果は洋梨型750-800×270-280μ。2次胞子6-8×1μ。シンネマ分生胞子は舟型7-10μ である。

日本、台湾、ジャワ島、ニューギニア島、全アメリカに分布し、落葉低木、草花などの葉裏に着生する。

感染症 VOL.28 No.2より

コナアブタケ

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コナアブタケ(学会未記録種)
Isaria sp. nov

発生地:山形県・釜渕
採集年月日:July.31,1979

双翅目Dipteraのアブ科Tabanidae、ウシアブの成虫に寄生す る虫草で、本邦では初めての発見であった。20年目の今年10月23日、同じ地域内で2例目が発見された。双翅目に寄生する虫草には蝿寄生のハエヤドリタ ケ、フトクビハエヤドリタケの他、数種類が数えられ、アブ寄生では幼虫に発生したアブヤドリタケが知られている。

アブの成虫は腐った果実、樹液、花の蜜などに集まり、温血動物から血を吸って生活しているので、フィラリア病や脾脱疸病などの病原菌を媒介することが知 られている。

コナタケには代表的なコナサナギタケ、ハナサナギタケが知られているが、鱗翅目寄生であり、分生胞子も一回り大きく、本種と顕微鏡学的に種を異にする。

本種の虫草は大型のウシアブに寄生したもので宿主の体長23〜33mmに及び、極めて珍しい地生型のイザリア型虫草である。

アブの頭部より強靱な弾力性のある白色の子実体を発生させる。地上部の大きさ2-3×69-78mm。2〜5本を叢生する。柄は細長く、頂部は僅かに折 れ曲がり、淡い朱色で表面には白色粉状の分生胞子conidia sporesを穂のような頂部に密布させる。分生胞子は円形で大きさ0.8〜1.0μ。

人工培養 日本特産。

感染症 VOL.30 No.1より